2024.06.15
週末になりました。今週は個展の図録用写真撮影が終わっても追加制作が必要なために、工房での制作は日々続いていました。同時に梱包用木箱も作り始めました。まだ焼成も必要で、水曜日には窯入れも行いました。木曜日は窯が稼働していたため、工房での作業が出来ず、その時間を利用して家内と映画鑑賞に出かけました。観た映画は「関心領域」でポーランドが中心になって制作された戦争映画です。第二次世界大戦のポーランドにあったアウシュヴィッツ強制収容所。その壁ひとつ挟んだ隣で生活するドイツ人一家。戦時中は収容所の煙突から炎が上がり、騒音も聞こえていました。親衛隊中佐一家は穏やかな生活を送り、収容所がなければ理想的な暮らしぶりに見えましたが、ずっと鳴り響く騒音が嫌でも耳に入ってくるのです。映画を観ている私たちも、その騒音が何であるか分かっていて、映画全編を貫く音響にこの映画の本領があるのではないかと思いました。ホロコーストの場面は一切描かれず、一家がお茶を飲んでお喋りをしたり、庭の草刈りをする場面でもずっと僅かな騒音が生活全般を覆っているのです。これはまさに音響効果の賜物で、私たちを恐怖の奈落に落とし入れる演出です。私は映画や演劇に伴う音響に注目しました。音響もひとつの表現ですが、音楽のような独立したものではなく、音響があることによってドラマに抑揚をつけ、時には衝撃を与えます。造形作品を照らす照明効果と似ていますが、映画「関心領域」の音響は劇伴効果ではなく、残虐行為を暗示する役割があり、親衛隊中佐一家の穏やかな雰囲気とはまるで異なる世界を突き付けているのです。私たち観客は、その音響があるために落ち着かない状況をずっと耐え忍ぶことになるのです。戦争映画としてこれほど陰惨な映画が嘗てあったでしょうか。音響が心に刺さった戦争映画。今週はこのインパクトが印象的な1週間でした。