2024.10.09
「抽象芸術」(マルセル・ブリヨン著 瀧口修造・大岡信・東野芳明 訳 紀伊國屋書店)の「Ⅴ 抽象絵画の主流 」の文中に出てくる多くの芸術家を今回は2人取り上げます。アメリカ現代美術の礎を築いたジャクソン・ポロックとヴィレム・デ・クーニングです。まずポロック。「ポロックは、慣習的な形式を拒絶し、新しい素材を自由にえらび、熱狂的な気質をなまなましく爆発させることによって、《タシスム》が非合理と主観の最高頂に達したあの大きなドラマティックな画布を描いた。しかしながら、注意してみると、ポロックはそのタブローに自分自身の激情をおしつけることをみずから禁じ、そこにかれのいう《タブロー固有の生命》を残すことのほうを好んでいる。かれがきびしく要求するものは、芸術家と芸術作品との完全な調和であり、画家の創造的な意志と、あの絵画の神秘な別の意志とのあいだの完璧な均衡である。」次にデ・クーニング。「デ・クーニングにあっては、アンフォルメルなものは、自然主義的な具象形態を漸次分解していった末に現われるもののようである。かれは、この分解のために、抽象の技術をかりる前に、キュビスムと表現主義の技術を利用した。デ・クーニングは、ポロックとトビーとともに、まさしくアメリカの行動芸術の指導者のひとりとみなされている。その作品には、熱狂的な否定と拒絶を裏切るような予期しがたい豊満や荒々しい渦巻がどよめいている。」新しい芸術の潮流がパリからニューヨークに移ったと感じていた当時の人々は、アメリカに新たな芸術的活路を見いだしたようで、そこに商業的な成功を夢見ていたと、私は思っています。それは伝統の枠を壊す芸術運動には格好の場所で、また新しい芸術的価値を付加した新天地でもあったのでしょう。今回はここまでにします。