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《白い風景》シリーズとクロッキー
昨日のブログの続きになりますが、神奈川県立近代美術館鎌倉別館で表題の展覧会を見てきました。保田春彦先生の金属による抽象彫刻は、ずっと自分の脳裏にあり、また気になる世界観をもった作品です。その保田先生がパリで病に倒れて、現在車椅子の生活を余儀なくされていることは、長野県麻績に住む池田宗弘先生から聞いていました。私は保田先生とは話をしたこともないくらいの面識なので、遠くから回復を祈るばかりですが、今回のクロッキー展には病に倒れた時の心理的な描写もあって驚きました。歪んだ自画像、治療する医師たちの手許、介護の様子などを素早く描いたクロッキーで己の全てを曝け出し、それを作品化にまで繋げていく強靭な意志に対して、敬意を払わずにはいられません。保田先生は「老いのツッパリ」と称して、病に倒れる前から1000枚の裸婦クロッキーに挑み、1300枚のクロッキーを描かれたことを展覧会を通して知りました。クロッキーはどれも長い彫刻家生活で培われた形態把握のしっかりした線描によって情緒を排除し、完成度の高いものになっていました。