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「保田春彦展」錆鉄の柱に再会
タイトルに錆鉄の柱と書きましたが、本来の題名は「集落の跡 Ⅰ.Ⅱ.Ⅲ」。3点1組の錆鉄による作品で、床から柱状に伸びた上部に幾何的な構成が施された作品です。自分はこの作品が大好きで、平塚市美術館をはじめ、さまざまな空間でこの作品に会っています。観る人を拒絶するような理知に富んだ作品ですが、柱と構成された部分の割合が理屈抜きで好きになってしまったのです。現在、世田谷美術館で開催中の「保田春彦 デッサンによる人間探求」展は、裸婦クロッキーを中心とした展示内容になっています。自分は神奈川県立近代美術館鎌倉別館でこれを初めて見て、東京の南天子画廊で再び見て、さらに世田谷美術館で見たので通算三度目になります。だんだん脳裏にすり込まれてしまい、迷いなく引かれたクロッキーの運筆が心地よく感じられるようになりました。そこに置かれた木による「白い風景」シリーズと上記の鉄による作品、いずれも旧知のものですが、また違った場所にあると見たくなって出かけてしまうのです。自分の母校の大学の教壇に保田先生は立っていられたのに、ほとんど指導をうけたことがない自分です。でも距離を置きながら保田ワールドを見続けてきました。これからも見続けていきます。人生の先達の行く末を思い描きながら…。