Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

風土から考える素材
昨日NOTE(ブログ)で、気候風土の影響を受け、世界各地にはさまざまな暮らしがあり、そこにある住居が美しいということを書きました。建築素材にしても世界各地では木材や日干しレンガや藁土といった各地で産出される素材を使っています。私たちは昔から馴染んできた素材が身近にあり、それをもって家作りに有効利用してきた歴史があります。ただし、現代の住宅事情はどうでしょうか。コンクリートやガラス、ステンレス、その他諸々の新建材によって私たちの家は建てられていて、昔に比べれば画一的に都市化されているように思います。日本各地を旅しても同じような素材、同じような工法で建てられた家が多く、まさに風景の無個性化が進んでいると言わざるを得ません。木材で古来から伝承された工法で建てられた家々は、今ではむしろ保護され、観光化されていると言っても過言ではありません。そんな環境に囲まれていると彫刻制作にも影響が出てくるようにも思えます。国際的に見ても現代彫刻の素材はさまざまで、自分の思考や構造上の問題、あるいは嗜好によっても自由に素材を選んで制作されています。自分は亡父が造園業を営んでいた関係で木材が身近にありました。陶土は自分の嗜好によるものですが、土に拘るところは家業と無縁ではないと考えます。気候風土が現代生活に及ぼす影響が少なくなってきた現在を考えると、むしろ自分の生育風土との関係で、自分は陶土や木材を選んで自作を作っていると考えたほうが自然かもしれません。