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ベルナール・ビュフェ美術館
日曜日に相原工房スタッフの遠足として出かけたベルナール・ビュフェ美術館は、小高い丘に建つ瀟洒な建物で周囲には木々があって素晴らしいところにあります。ビュフェは若くして世に出た画家で、灰色がかった色彩とそこに佇む細い人物が不安感や虚無感を表している画風で一躍有名になりました。美術館のパンフレットには、サルトルの実存主義やカミュの不条理の思想の具現化と書かれていて、日本でもビュフェは新具象派として紹介されました。自分もいろいろな美術館でビュフェの作品に出会っています。とくに自分はビュフェの若い頃の作品が好きで、アトリエの室内を描いた作品やキリストの咎刑を描いた作品が印象的です。輪郭を決定するために何度も引かれた黒の描線が、心に痛々しく神経が震えているように感じています。晩年の色彩あふれる作品は、青年期の抑圧された画風に比べると、雄弁ではあるけれど深い感動は得られないように思います。美術館ではビュフェの制作風景を撮影した書籍を購入しました。芸術家の制作現場を覗くのは何とも楽しく、また自分の制作意欲が高まるのです。