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再び、カンディンスキー
「再び、カンディンスキー」という表題をつけましたが、20世紀初頭に活躍したロシア人前衛画家カンディンスキーに関する文章は、「再び」どころではなく再三再四NOTE(ブログ)で取り上げてきました。書店に行ってカンディンスキーに関する書籍を見つけると、思わず購入してしまう癖が自分にはあります。今回読み始めた「青騎士の誕生 カンディンスキーの舞台芸術」(小林奈央子著 早稲田大学出版部)も先日見つけたもので、早大演劇博物館に集められた学位論文の中で優れたものを出版しているとの序文がありました。原文はドイツ語だそうで、カンディンスキーの舞台芸術に関する先行研究を踏まえた上で自論を展開しているようです。まだ読み始めたばかりで、今後の展開が楽しみになっています。とくに舞台美術は自分が昔から興味関心を抱いていた分野で、カンディンスキーの「舞台コンポジション」がまとまったカタチで論考されている本書に出会えたことが幸運と思っています。舞台は非日常の世界を創出するものです。言語または身体言語も人の心の中に入ってきて私たちの感覚を揺り動かします。舞台芸術はカンディンスキーが唱える「精神的なもの」を表現するには好都合な媒体と言えます。絵画の世界では非対象へ移行する当時のカンディンスキーが、舞台芸術ではどんな思索をしていたのか本書の解釈や論拠に期待しています。