Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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金曜夜は映画鑑賞へ…
今日は勤務時間終了後に映画を観に行くことに決めていました。夕方になって私一人で東京神田の神保町まで足を伸ばしました。今晩は常連にしている横浜ではなく、ミニシアターの聖地とも言える岩波ホールに行ったのでした。アンジェイ・ワイダ監督の遺作「残像」が今日まで上映していたので、岩波ホールの最終上映時間に滑り込みました。アンジェイ・ワイダ監督が昨年10月9日に享年90歳で亡くなり、そのうちきっとワイダ・ワールドを上映するはずだと思っていました。私は20代の頃にいたウィーンの場末の映画館で「地下水道」をドイツ語翻訳版で観ました。その時、社会体制に歯向かう反骨精神に溢れたドラマに一気に魅了されてしまいました。映画は娯楽ばかりではなく、イデオロギーをもった表現であることを知って、そこから紡ぎ出す物語性に感動を覚えました。昨年アンジェイ・ワイダ監督の訃報を受けて、その思いをNOTE(ブログ)に書いたこともありました。岩波ホールで「残像」が観られたことが今日一日を充実したものにしてくれたと思っています。「残像」はポーランドに実在した前衛画家ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの物語で、社会主義政権の弾圧に最後まで屈せず、芸術の自由な理念を貫いた半生を描いています。アンジェイ・ワイダ監督の言葉が残されています。「私は、人々の生活のあらゆる面を支配しようと目論む全体主義国家と、一人の威厳ある人間との闘いを描きたかったのです。一人の人間がどのように国家機構に抵抗するのか、表現の自由を得るために、どれだけの対価を払わなければならないのか、全体主義国家で個人はどのような選択を迫られるのか、これらは過去の問題と思われていましたが、今もゆっくりと私たちを苦しめ始めています。」キナ臭くなっていく世界情勢や日本の状況を鑑みると、冷戦当時とは違う手枷足枷が私たちに纏わりついているように思えてなりません。映画の内容に関する詳しい感想は後日改めたいと思います。そのうち横浜のミニシアターにも「残像」はやってくるでしょう。