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夏季休暇⑤ 5日間の休暇を振り返る
今日はどこかへ出かけることはしないで、今年の夏季休暇を振り返る一日にしました。7月末に2日間の夏季休暇を取りました。ここでは新潟県魚沼市を訪れて、江戸時代の彫工石川雲蝶のダイナミックな木彫に触れました。「越後のミケランジェロ」と呼ばれた木彫家の作品は、現在も寺院で大切に保管されていました。翌日は「大地の芸術祭」常設作品である清津峡渓谷トンネルに行き、自然の景観を生かした現代アートを堪能して来ました。8月に入って3日間の夏季休暇を取りました。初日は兵庫県姫路に出かけ、世界文化遺産である姫路城を見て歩きました。夕方は大阪にあるあべのハルカス美術館で開催されている「ギュスターヴ・モロー展」に出かけました。翌日は徳島県鳴門市にある大塚国際美術館に行き、陶板による名作の数々を見て回りました。「越後のミケランジェロ」ならぬ本物のミケランジェロの「天地創造」の陶による再現があって、システィーナ礼拝堂を模した環境展示と相俟って、圧倒的な迫力を感じました。昨晩遅くに横浜の自宅に帰ってきましたが、今回の夏季休暇は美術と建築を徹底的に味わい尽くすものだったなぁと振り返っています。陶による名作の数々は、たとえオリジナルでなくても精巧に出来たものであれば、芸術家の息吹を感じさせることを体験してきました。西洋美術史に刻印された作品は、いずれも芸術家が命を削って表現したものばかりで、人間が生きて刻んできた魂を、静かで力強く感じさせるものがありました。一堂に名作を見渡して感じたことは、私たち人間の内面に宿る豊かさだったように思います。石川雲蝶然り、ギュスターヴ・モロー然り、建築で言えば姫路城を作った名もない職人集団然り、清津峡渓谷トンネルにアートを設置した芸術家然りで、それぞれが命懸けで取り組んだモノだったことが後世になって伝わってきています。作者はいなくなっても生きた証として後世に残っていくものが、こうした芸術なのでしょうか。しかも後世の人の心を揺さぶる感動は、何処から湧いてくるのでしょうか。そんなことを考えされられた夏季休暇だったと思いながら、午後になって久しぶりに工房に行きました。私も精魂込めて陶彫制作をやっていますが、手前味噌ながら今まで見てきた名作に負けていないぞと思いました。微力を積み上げていけば、きっと人を惹きつけられるモノができると信じることにしました。今回の夏季休暇では創作意欲だけは人一倍もらえた気がしています。