Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 久しぶりの窯入れ
昨日、窯のメンテナンスを終えて、今日は窯入れの準備を行いました。今月の週末はずっと工房で板材刳り抜き作業を行っていたので、久しぶりの窯入れは新鮮でした。新作の屏風にはそれぞれ陶彫部品が接合される予定になっています。その陶彫部品は全て焼成が終わっているわけではありません。屏風は厚板6枚で構成しますが、5枚目と6枚目に接合する陶彫部品がこれから焼成をしていくのです。陶彫部品は乾燥すると、やや縮んできて、最後に焼成するとさらに縮んでいきます。今月は板材刳り抜きを始めている最中ですが、5枚目と6枚目に接合する陶彫部品の正確な大きさが焼成前は掴めないため、今日は板材刳り抜き作業を中断せざるを得なかったのでした。そこで乾燥した陶彫部品6点を今日窯入れすることになったわけです。窯入れの準備として、私は陶土表面の指跡を消すためにヤスリをかけていきます。その後に化粧土をかけて窯に入れます。窯内を3段に区切って、それぞれの段に2点ずつ陶彫部品を置きました。陶芸による器と違い、不規則なカタチをした陶彫部品はどうしても隙間が出来てしまいます。それでも組み合わせを工夫して、何とか6点の陶彫部品を窯内に収めました。6点の仕上げと化粧掛けとなると、ほとんど一日がかりで、今日はついに板材に取り組むことが出来ませんでした。今日は朝から若いアーティストが工房にやってきていて、染めの作品に挑んでいました。彼女は茨城県の展覧会に間に合わせるため、このところずっと工房に通ってきているのです。私は一人で制作しているよりも、勢いのあるアーティストが近くで制作してくれている方が張り合いがあって仕事が進みます。休憩時間に楽しい話も出来ました。私はテキスタイルは平面ではなく空間造形だと思っている節があります。布は空間を漂う素材です。そこに意図する何かが染められて、しかも染めが重層になっているのならば尚更空間的なものがそこにあるはずだと思っているのです。彼女も私の主張に納得しているようでした。寧ろ彼女の作品が極めて空間的なのかもしれません。私の作る彫刻は、実際の凹凸があって唯物的ですが、重層的な染めには、形而上的な距離感を感じるのは私だけでしょうか。染めには記憶もあると彼女は言っていました。そうなれば空間だけでなく時間もそこにあるはずです。話は尽きなくなるので、そこで打ち切りましたが、そんな会話が楽しめるのはとてもいいなぁと感じているところです。来週末も制作を頑張りたいと思っています。