Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 新作の柱の木彫
今年の7月個展に出品する大きな新作2点のうち、陶彫部品を伴わないテーブル彫刻を現在制作しています。その新作はテーブル部分では文様を刳り貫き、それを有機的な形態を持つ4本の柱で支える構造を持つ作品です。今週の月曜日から今日まで4本の柱に木彫を施していました。今週は一切陶彫をやらない1週間で、私は木屑まみれになりながら、朝から夕方まで工房で過ごしていました。私が主に使う道具はチェンソーと丸鑿です。彫りは大雑把にチェンソーで削ぎ落とし、残りは丸鑿でコツコツ彫っていきます。丸鑿の刃幅は42ミリあって、専門店でないと扱っていないものです。東京浅草の専門店で随分前に購入したものですが、それからずっと愛用しています。粗彫りが出来たところで、丸鑿は刃幅の小さいものに替えて、彫り跡をそのまま残すような切れ味を見せる方法を取っています。私はごつごつした彫り跡が好きで、滑らかに仕上げることに抵抗があります。木材に塗装をすることもしません。彫ったままというのが私のやり方ですが、旧作には一部を炙って炭化させたものもあります。現在作っている新作の柱は彫りっ放しにしようと決めました。テーブル部分は油絵の具を滴らせて、文様に色彩を加えていきます。何とか今日で柱の粗彫りが出来て、全体の雰囲気が現れてきました。そんな状況を眺めていたら、突如として、この完成形が崩壊していくイメージが湧いてきました。これは来年の作品かなぁと思っていますが、今日降って湧いたイメージを温めていくと、来年は崩れかけた作品を作ることになりそうです。確かに今年の作品は冒険がないのが気に入らないと言えばその通りで、陶彫部品による集合彫刻にも意外性が欠けているかもしれないと、以前のNOTE(ブログ)に書いた記憶があります。個展は今年で16回目、制作キャリアはそれ以上になっていて、作品は計算尽くめになっている傾向は否めません。破壊と創造が芸術の原点であるはずで、そろそろ私も今まで培ってきた規定路線を壊す時期に来ているのかもしれません。柱の木彫が一段落したら、こんな考えが頭を過ぎりました。