Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

「発掘~盤景~」砂マチエール開始
新作「発掘~盤景~」の木材による土台加工がまだ完全に終わっていませんが、出来ている土台に今日から砂マチエールを施す作業を開始しました。砂マチエールは20年以上前の私のデビュー作品「発掘~鳥瞰~」からやっている表面処理です。実は陶彫が技術的に出来なかった頃には、その時のイメージを油絵で表現していましたが、その油絵にも砂マチエールを施していました。硬化剤で砂を貼り、その上から油絵の具を滲み込ませ、表面をザラつかせる効果として用いていました。その砂マチエールを施した画面と陶彫部品の組み合わせが面白いと感じたのは「発掘~鳥瞰~」からで、それから積極的に砂マチエールを使うようになり、現在では自作の特徴を成しています。砂マチエールはさまざまな画材店が扱っており、私は東京神田の「文房堂」のものを取り寄せています。理由として砂マチエール用の硬化剤が「文房堂」しか扱っていないということが分かって、東京神田の本店から大量に郵送してもらっているのです。そもそも木材を砂で覆うのはどういうことか、しかもさらに油絵の具を滲み込ませ、その上から油絵の具を振りまいて、言うなればアクションペインティングのように偶然の効果を狙っているのは、私が素材の変容を求めていることに尽きます。出来上がった作品を鑑賞した人に、これは木材だと言わなければ、素材に気づかない人もいます。陶を陶として見せる、木を木として見せる、時には木を焦がして炭化させた状態で見せることを私はやってきましたが、同時に素材の特徴を消して変容させて見せることも、イメージを具現化する上で必要な処理だと思っています。「発掘~盤景~」の砂マチエールは今日から開始して、来週には油絵の具を滲み込ませる予定です。新作が完成に向けて佳境を迎えています。