Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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東京八重洲の「STEPS AHEAD」展
昨日、東京八重洲にあるアーティゾン美術館で開催されている「STEPS AHEAD」展に行って来ました。ここは旧ブリジストン美術館で、学生時代から行き慣れた美術館だったのですが、建物を建て直し、美術館のコレクションも充実させて、多様なアートを発信する新たな美術館に生まれ変わっていました。石橋財団のコレクションはフランス印象派と日本の近代洋画が中心と思っていました。それがカンディンスキーやクレーのバウハウスや、デュシャンを初めとするニューヨーク・ダダ、瀧口修造による実験工房、戦後のニューペンティングなど、近代から現代に至る各時代の代表的な作品がコレクションに加わり、現代アートの潮流が分かる展示になっていました。会場を巡っているうちに印象に残る作品も数々ありましたが、会場入口にあった石の立体作品とそれに呼応する椅子が気になっていました。立体作品の作者は田中信太郎、椅子のデザイナーは倉俣史朗で、モダンなアーティゾン美術館の顔になっているように感じました。資料によると「田中が石材の裏に照明を入れて行燈のような薄明かりを感じさせる壁面にと、まったく新しい発想で提案したものであった。石材の決定後は、行燈のようなやわらかな光のイメージで壁面をつくり上げるため、照明設計や光を透過するほどの非常に薄い石のパネル製作、大きな壁面に組み上げるためのジョイントの機構などが検討されていった。」(田所夏子著)作家もデザイナーも故人になって完成を見なかったわけですが、美術館に誘う造形としては秀逸な空間を得ていると思いました。私が興味関心を寄せる彫刻作品もU・ボッチョーニ、O・ザッキン、W・デ・クーニング、D・スミス、C・ブランクーシ、A・コールダー、I・ノグチ、A・ジャコメッティが展示されていました。アーティゾン美術館では密度の濃い時間を過ごすことが出来ました。