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女子美の「柚木沙弥郎の100年」展
週末になりました。今日は工房に出入りしている若い世代の子たち3人を連れて、相模原にある女子美術大学アートミュージアムで開催中の「柚木沙弥郎の100年」展に行って来ました。同伴した3人のうちの一人が女子美大工芸学科の学生だったため、この情報を知りました。染色家柚木沙弥郎氏は今年100歳を迎えられます。しかも同展の最終日である10月17日が100歳の誕生日というのが洒落ていて、同大で長く教壇に立ち、学長まで勤めてこられた柚木氏にとっては、本当の意味で記念になる展覧会なのだろうと思いました。柚木氏の染色分野に留まらない多種多様な表現活動はよく知られていて、私も立川市の美術館や目黒区駒場の日本民藝館での個展に出かけて、快い空間構成を齎せている布のデザインを堪能してきました。今回もその斬新なデザインに触れて、私は創作意欲を刺激され、明日からの制作活動の糧になりました。今回の出品作品の中で、私には新しい発見がありました。81歳になった柚木氏が運命的に出会った東欧の彫刻家の抽象作品がひとつだけ展示されていたのです。それはズビニェク・セカル(1923-98)の直線的な二本脚で立つ小品でした。図録にこんな柚木氏の感想がありました。「その存在感は圧倒的である。それは、その作品が私を待っていてくれたのだとしかいいようがない。改めて作品に向き合うと私が長年探し求めていた何かが音になって聞こえてくるではないか。私は心の底から湧き出す歓びを感じた。」セカルの立体作品は、まさに柚木ワールドに呼応するような響きを持っていて、空間の解放感と凝縮された内容を同時に感じさせてくれました。しかも柚木氏が81歳でもなお鋭敏な感覚を持ち、さらにセカルの立体作品によって新しいステージに造形が展開していくパワーを持っていたことに、私は勇気をもらいました。私の彫刻の師匠は現在83歳、染色のアーティスト柚木沙弥郎氏は現在100歳、いずれも衰えを知らない藝術家が、私には羨ましくて仕方がありません。私も長く創作活動に携わっていたい、そんな思いを強くした1週間でした。