Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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800kgの陶土が届く
栃木県益子町にある陶芸用品専門店「明智鉱業」から、私は毎年陶土を購入しています。30年前に陶によって彫刻を作ろうとしていた自分は、どんな陶土を使い、焼成はどうしたらよいのか見当がつかず、そもそも焼き物の産地に育ったわけではない私が、自分のイメージだけで焼き物を学ぶことは些か無謀にも思えました。教職に就いて間もない頃の夏休みに、市内の特別支援学校の窯業科にお邪魔して、陶芸のノウハウを教えていただくことになりました。同時に同級生が茨城県笠間に移り住んで、陶芸を始めていたので、実際の窯焚きもそこで体験しました。その頃、陶芸家の友人から教えていただいた「明智鉱業」からさまざまな陶土を調達して、陶土を混合してはテストピースを作っていました。また釉薬を使おうとしてしていた自分は、さまざまな釉薬を試し、それもテストピースに加えていました。当時は学校設備品の窯を生徒作品と一緒に使っていました。生徒の使う教材用の陶土は割れ難く、焼成はほぼ成功していたのに、私の混合陶土は失敗の連続でした。それでも教材用の陶土を使わず、自分の欲する陶土の肌色や強度を得ることを、私はどうしても諦めることが出来ませんでした。「明智鉱業」とはその頃からのつき合いで、最初は車で益子の店舗に出かけていたのですが、最近は複数の種類の陶土を郵送してもらっています。毎年この時期に総量800kgの陶土を依頼しています。その陶土が今日工房に届きました。これから支払いがありますが、陶土が届いたことで私は安堵しました。彫刻の材料は自分にとっては宝物であり、挑戦への道具であり、制作中は対話をする仲間でもあるのです。今日届いた陶土を使って、また1年間頑張るつもりです。800kgの陶土を見ていると、沸々と元気が湧いてくるのです。