Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 鑑賞が印象的だった日
週末になりました。今週を振り返ってみたいと思います。今週も相変わらず工房に通っていました。陶彫制作で言えば、毎日同じ時間帯に陶土に触れて、いつものように創作活動に精を出していて、同じような日常が流れていただけでしたが、今週は窯入れと窯出しをやりました。今週の印象的な一日は金曜日で、この日は工房には行かず、東京の美術館を二つ回りました。ひとつは上野にある東京都美術館で、「エゴン・シーレ展」を見てきました。画家エゴン・シーレは28歳で没した早世の芸術家でしたが、生誕地のウィーンではクリムトに並ぶ存在でした。東京都美術館の展覧会ではレオポルド美術館から作品を借りてきたようですが、私の知っているシーレの作品はヴェルベデーレ宮殿にある現代ギャラリーに所蔵されているものばかりでしたので、初めて見る作品が多かったと思いました。20代の頃にウィーンに住んでいた私は、シーレの作品の前で不思議な感覚になりました。私にとっては懐かしくもあり、新しい気分にもなりました。シーレが亡くなった28歳という年齢は、私にはウィーンで造形による再出発を誓った年齢でもありました。その頃の私は具象彫刻から別の表現に舵を切ろうとしていた時期でもありました。次に訪れたのは東京駅ステーションギャラリーで、「佐伯祐三展」を開催していました。画家佐伯祐三も30歳で没した早世の画家でした。私はまさに美術学校へ進もうとしていた高校生の頃、佐伯の受験用石膏デッサンを図版で見て、その巧みさに驚いていました。私は絵画科希望ではなかったのですが、絵画表現ではとても敵わないと感じていました。佐伯は美術学校を卒業後、すぐにパリに渡っていましたが、生活はどうしていたのだろうと思っていましたが、実家が浄土真宗の光徳寺と知って、それなら援助は可能だろうと納得してしまいました。佐伯もパリで自己研鑽に努め、自らの表現獲得のために闘っていました。佐伯が逝った30歳という年齢は、私が西欧生活を切り上げて帰国した年齢でもありました。そんなことを思いながらこの日は印象深い一日を過ごしました。