Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 タタラと紐の併用技法
週末は創作活動についての話題に触れます。陶彫制作をやっていく上で、複数の種類の陶土を混ぜ合わせ、自分の陶土を作り上げたら、成形という制作工程に入ります。陶土を立体に立ち上げていくのですが、陶器を作る場合は、電動ロクロを使って機械の動きを利用し円形に立ち上げる方法と、手回しロクロを使って紐状にした陶土を積み重ねていく方法があります。円形以外の陶器ならば、タタラや鋳込みという方法もあります。タタラは小品であるならばタタラ板を使って、同じ厚みに陶土をスライスしていきますが、私の場合は大きいサイズの作品になるので、陶土を掌で叩いて座布団大のタタラを作ります。タタラはビニールで包んで一日放置します。放置するのは陶土を多少硬くする必要があるからです。そうして時間をおいたタタラは立ち上げても変形しないほど腰があるので、そのタタラを組み合わせて、現在作っている立方体にしていきます。タタラ同士はドベと呼ぶ接着剤で接合していきますが、ドベは陶土を水で溶いたものです。タタラは指で圧力をかける紐作りに比べて強度がなく、そのためタタラの裏側から紐で補強していきます。タタラと紐の接着には常にドベを使うので、ドベは大量に用意しておく必要があります。私の作品は現在作っている陶彫立方体に限らず、既存の作品もタタラと紐の併用技法で作っているものばかりです。立体になったなら、ビニールをかけて一日以上は放置します。彫り込み加飾が出来る硬さになるまでおいておきますが、そこは勘に頼ることも暫しあります。乾燥具合は季節によって異なるので、いつも同じとは限りません。単純な制作工程ですが、陶土の乾燥具合で暫し時間をおくのは、教職との二束の草鞋生活には大変有効でした。木彫や石彫に比べると陶彫は長く制作できないことが、他の仕事を入れるのには都合が良かったのでした。しかもずっと放置できないことも有効でした。生徒が帰った後、必ず陶土の様子を見て、次の工程を考えることが創作活動継続に繋がっていました。現在は彫刻家一本ですが、細切れになる制作時間が、炎暑の中で熱中症にならない秘訣かもしれず、坦々と歩む自分の姿勢に合っていると思っています。