Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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久しぶりに上野の展覧会へ…
今日は工房での作業は休みました。10月に入り漸く秋の気配がしてきて、この程度の気温なら展覧会でも行こうかと家内と話しました。現在読んでいる「古寺巡礼」(和辻哲郎著 岩波文庫)に触発されて仏像が見たくなり、関連の展覧会を探していたら、東京国立博物館で開催中の「京都・南山城の仏像」展が目につきました。どうせ上野に行くのなら国立西洋美術館で最近始まった「キュビズム展」にも足を踏み入れようと決めました。上野駅に降りたつと最初にあるのが国立西洋美術館で、まずここに入ることにしました。「キュビズム展」は美の革命と称していて、パリのポンピドゥーセンターから多くの作品が来日していました。キュビズムの革命としての芸術運動は既に、私が10代の頃に近代美術史を学び、また実際に20代の滞欧中にポンピドゥーセンターにも行って、主だった作品を見ていました。実はキュビズムは私が好きな美術潮流の一つなのです。キュビズムの革命性はもとより、分割された面の配置や構成を見取って、私は自作に応用できる要素を掴もうとしています。展示作品の中ではピカソやブラックのキュビズム初期の緊張漲る作品があって刺激を受けました。それより入口にあったアフリカ彫刻にキュビズムの原動力となったパワーを感じて、楽しい導入となりました。「キュビズム展」の詳しい感想は後日改めます。次に訪れたのは東京国立博物館本館で、ここで開催されている「京都・南山城の仏像」展は、浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念というものらしく、京都府の最南部に位置する南山城にある浄瑠璃寺を始めとする寺院の仏像を集めていました。私が現在読んでいる「古寺巡礼」に登場する奈良の古刹に鎮座する仏像とは趣きがやや違っているように思いましたが、仏像を拝みたいという私の気持ちは満足を覚えました。私は和辻氏のように饒舌に仏像の印象を語れないのですが、別稿を起こしてみようと思います。ただし、私は宗教性に乏しく、その分美術としての印象に特化してしまいますが、ご容赦願えればと思います。今日は充実した一日を過ごしました。