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千葉県佐倉の「ジョセフ・アルバースの授業」展
昨日は千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で開催中の「ジョセフ・アルバースの授業」展を見てきました。ジョセフ・アルバースは日本では馴染みのない画家だろうと私は思っていますが、バウハウス出身で同校の教壇にも立っていて、ドイツでは評価が定まった画家であり、優れた教育者です。バウハウスは20世紀初頭にドイツのワイマールで興ったデザイン運動で、「建築の家」という名称の美術学校でした。幾何学的でシンプルなデザインを基盤にした教育機関であるとともに、大量生産が可能な商品の開発も担っていました。情緒や感情を排除したデザインは、その後多くの工業製品に影響を及ぼし、現在でもそのコンセプトは継続しています。本展ではアルバース自身の作品と彼の授業で実践していた学生による課題も展示されていて、私は微妙な気分になりました。パンフレットには「アルバースは授業の目的を、『目を開くこと』だと述べています。彼はただ知識を教えるのではなく、学生に課題を与え、手を動かして考えることを促しました。そうして答えを探究することで、色彩や素材のもつ可能性を自ら発見させようとしたのです。」とありました。私が微妙な気分になったのは、日本の美術系の大学入試に平面構成や立体構成があり、同じことを受験期にやっていたからです。私は途中で彫刻に進路変更しましたが、家内は空間演出デザイン科を卒業しているので、展示作品を見て「結構疲れたよ」と漏らしていました。デザインの基礎学習は、日本では美大入試があるため、課題制作に苦しんだ青春時代が甦ってくるのです。その入試問題のハシリがアルバースの「正方形賛歌」に見られる作品群であろうと察します。本展の図録は予約販売のため、図録が郵送されてきたら、時代背景を踏まえた内容等を読み込んでいきたいと思っています。