Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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「ミケランジェロ」について・5
「芸術家列伝3」(ジョルジョ・ヴァザーリ著 田中英道・森雅彦訳)の「ミケランジェロ」について、幾つかに分けて気に留まった箇所をピックアップしていきます。今回も前回に続いて「システィーナ礼拝堂」に関する記録です。「法王は、往々ミケランジェロを見ると、礼拝堂は貧弱だからより多くの色彩と金色で豪華にならぬかと聞いた。ミケランジェロは親しみをこめてこう答えた。『法王様、当時の人々は金色で飾りたてたりなどいたしませんでした。描かれている者たちは富をさげすんだのですから。決して金持ではなく、聖人だったのです』。この作品のために、ミケランジェロには法王から数度にわたって計3000スクード支払われたが、そのうち彼は顔料代に25スクード費やさなければならなかった。この作品は、上に頭を向けて制作せざるを得ないというたいへん不自由な状態で完成された。それで彼は視力を弱めてしまい、また上を向かなければ文字を読むことも素描を見ることもできないほどになった。それは、以後何カ月も続いた。私はそれを確言できる。というのも、コージモ公の宮殿の大部屋のために私が天井で5つの部屋を描いたときなど、もし私が頭をもたせかけ、制作しながら休んだりできる椅子を作らなかったら、私は決してそれを完成できなかっただろうからだ。それでも私の視力を弱めたし、いまでも感じているごとく、頭部をそこねたのである。だから私がミケランジェロが、この不自由に大いに耐え忍んだことには驚嘆する。日々ますます制作意欲に燃えたたせられ、彼自身が得たものや進展のさまによって、疲労も感じなければ不自由も気にならなかったのである。」制作に纏わる不自由さで、作者自らが身体を傷つけてしまうことに、私の心が刺さりました。結果として名誉を手に入れたとしても、です。「さてこれを見ようと、各界の人々が駆けつけるのを耳にしたが、人々を仰天させ、口もきけないようにしてしまうのに十分なものだった。そのため、法王はこのことに気を大きくされ、自らさらにすばらしい事業を行なおうとする活気が得られ、金や高価な贈物で大いにミケランジェロに報いた。彼は、往々、法王がさかんに授けてくれる好意について語ったものである。法王が彼の力量を十全に認めていることを示すものだったのである。」今回はここまでにします。