Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

GW④ 「陶紋」の制作継続
ゴールデンウィークの4日目を迎えました。一昨日から小品「陶紋」の制作に入っていて、今日も制作を継続しました。新作の「陶紋」は5点作る予定です。そのためのタタラを準備していたので、今日は昨日に続いて4点の成形を行いました。成形した「陶紋」は全部で5点になり、次の段階としてそれぞれ成形したカタチに彫り込み加飾を施すのですが、暫し悩んでみた結果、若い頃に旅したギリシャの山間に点在する遺跡に思いを馳せることにしました。風景の中に遺跡だけがポツンと存在する光景は、実に不思議な感覚を私に齎せました。街の中ではなく樹木に覆われた自然の中に取り残されたようにあった遺跡はギリシャだけではなく、東南アジアにも見られました。木の根が遺跡を覆っていく姿は、人工の構築物が自然に還っていくように思えて、地球が傷ついた箇所を瘡蓋によって治癒していくとイメージした私は、嘗てそのテーマで詩作をしたこともありました。自然にしてみれば、人が街を作ることは痛みを伴うのではないかと私は勝手に想像したのでした。自然の治癒力によって地球が保護されているようにも感じました。それは現在の日本にも当て嵌まり、度重なる自然災害によって、思いあがりすぎた私たちの生活は戒められているのではないかと思っているのです。現在流行している新型コロナウイルスも地球規模で私たちを翻弄し、それによって私たちは何かに気づかされているとも思っています。昔から人類は自然と対峙してきました。自然の一部にウイルスが存在し、それを克服すべく私たちは戦ってきたのです。また自然との融和を求め、折り合いをつけてきました。古代文明は私たちの祖先が自然と亘り合ってきた歴史の結果遺産です。風景には人がコントロールしている部分と、そうではない部分が混在しています。自然の全てを私たちが支配することは間違っていると私は考えます。バランスをとって自然と私たちの生活が共存していくこと、それを私は彫刻に籠めたいと思うようになりました。「陶紋」は小さな作品ですが、そこに籠めようとする思いは自分の身の丈に合わないくらい大きなものです。そんなことをあれこれ考えていたら、彫り込み加飾が遅々として進まない状況になってしまいました。