Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 新作の木材加工開始
月曜日から今日までの一週間は、ほぼ毎日工房に通っていて小品の成形や彫り込み加飾をやっていました。小品は6点出来上がり、現在は乾燥を待っている状態です。小品は6点全部を一窯で焼成できそうなので、乾燥が進んだら窯入れをしたいと思います。これで大規模作品、中規模作品、小品6点が全て出揃ったわけですが、とくに大規模作品は今後調整が必要で、場合によっては追加制作もあり得ます。順調と言えば順調ですが、現在は彫刻家一本でやっているので、これが自然な進行状況だろうと思っています。嘗ての二足の草鞋生活のような焦りがなくなったことが救いです。今日からまず中規模作品の陶彫部品とコラボレーションする木材部品の制作に取り掛かりました。先日、厚板材を数枚購入してきているので、まず切断を始めました。木屑や埃が出て周囲が煙ってしまうことがあるため、陶彫の作業台や乾燥棚をビニールシートで覆いました。毎週来ている高校生は、合格した美大から送られてきた課題をやっていましたが、電動ノコギリの騒音と埃で迷惑をかけていて申し訳ないと思いました。作業終了時に彼女が使っている作業台にもビニールシートをかけました。彼女のいないウィークディに木材加工を出来るだけ進めていこうと思っています。中規模作品は、以前作った「発掘~赤壁~」に連なる作品で、大きさはほぼ前作と同じです。壁状になった直方体が立ち上がり、その上に陶彫部品を連結して設置する構造になります。木材加工をした後で厚板に木彫を施しますが、まずは直方体を作ることが先決です。全ての木彫が終わったら、砂マチエールを貼り付けて油絵の具を滲み込ませていきます。これは私の常套手段ですが、今回の作品は崩壊している部分を作るため、制作途中で欠損した部分を考えなくてはなりません。欠損で頭を過ぎるのは、桃山時代の武将で陶匠の古田織部が行った「破調の美」の表現法です。それは器をわざと壊して継ぎ合わせ、そこに生じる美を楽しむという方法です。実例として、大きさを縮めるために茶碗を十字に断ち切って漆で再接着した「大井戸茶碗 銘須弥 別銘十文字」があります。日本の伝統には面白いものがあって、私はそんな破れかぶれな感覚をもった日本人に生まれてよかったと思っています。現代にも通じる美的センスではないかと考えているところです。