Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 酷暑の中の工房
まだ6月というのに大変な暑さに見舞われている毎日です。横浜でも30度以上の気温があり、空調設備のない工房での作業はなかなか厳しいものがあります。大型扇風機を出してきましたが、多少暑さが凌げる程度で、ここに長く留まっていると体調を崩しそうになります。今日は後輩の木彫家と美大生が工房にやってきて、それぞれ課題に立ち向かっていました。私を含めて3人で作業をやっていると仕事はそれなりに進みます。私は梱包用の木箱作りの追加分をやっていて、創作活動とは異なり、ややもすると意欲は低下していきました。工房には小さな冷蔵庫があり、水分を冷やしておくのには都合の良い電化製品です。冷やした水分を取るだけでも熱中症を免れるのではないかと思います。こうした暑さの中で作業をしていると、私の記憶は忽ち若い頃に戻り、夏休みの間中、あの当時は空調設備のなかった美術室で、汗を掻きながら彫刻を追い求めていた時代に遡ってしまいます。私の集合彫刻は夏の暑さの中で培われてきました。彫刻の動機となるイメージは乾燥した西欧の土地から育まれたものだとしても、陶土を使うようになってから湿潤な日本の気候風土による仕事に取って変わりました。私のやきものによる彫刻は日本そのものなのです。彫刻の立体性や空間性は西欧から得たものでも、日本の詩情に融和して紡ぎ出した私的造形だろうと思っています。酷暑の中の工房で、ぼぅと頭を過ぎった記憶、それは過去からの蓄積であり、今後どうしていくかを方向づけていく道標なのかもしれません。