Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 日付のある陶彫制作
週末になりました。今週を振り返ってみたいと思います。今週は美術館や映画館に鑑賞に出かけることもなく、毎日朝から夕方まで陶彫制作に励んでいました。現在作っている新作は同じ大きさの立方体にそれぞれ異なる彫り込み加飾を入れたもので、一日1点ずつやっているように日付をつけています。平面RECORDは、その日のうちにアイデアから下書き、仕上げに至るまで制作を仕上げることが可能ですが、陶彫制作はそういうわけにはいかず、苦しい展開になっています。しかし何とか遅ればせながら平面RECORDに近づけようとしています。陶彫制作の工程としては、土練り、タタラ、成形、彫り込み加飾、仕上げと化粧掛け、焼成を一日1点ずつやることは不可能で、数点ずつまとめて工程を進めていくため、日付は意味を失っています。さらに乾燥をした後でなければ、仕上げと化粧掛け、焼成ができないので、2週間以上は放置した状態にして置くために遅れることは仕方がないことと受けとめています。平面RECORDに近づけようとしているのは、作品の日記としての制作姿勢です。これは日々の記録として考えているのです。私が彫刻を学び始めた頃に、現代美術の動向にも興味を持ち始めました。その時、コンセプチュアル・アートという思考に出会い、その中で「日付絵画」をやっている河原温という芸術家のキャリアを知りました。既に作家は故人になっていますが、1966年から制作された「日付絵画」は毎日の日付のみが記されたもので、21世紀になっても継続されていた記録が残っています。それは数字を記録することを表現行為とした作品で、内容としては時間の経過があるだけです。私はどこかの美術館でその作品のシリーズを見た記憶があります。日付をつけた陶彫作品は、河原ワールドに触発されたわけではありませんが、頭の片隅に「日付絵画」のことがあったことは確かです。ただし、私の日付のある陶彫制作はコンセプチュアル・アートとしての考え方はありません。日記のように作業を積み重ねている日常を意識しているのです。