Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 文様のバリエーション
日曜日になると、いつものメンバーが工房にやってきます。一人は後輩の彫刻家で自然木を彫っています。彼は抽象形態をやっていますが、世が世なら彼は仏師になっているかもしれません。もう一人は美大生で染織関連の課題をやっています。後輩は平日は公務員として働いているので、週末の創作活動は貴重なものです。美大生はバイトが始まるので、課題がやれるこの時間は彼女にとっても貴重なものです。私は彼らに背中を押されるように新作の陶彫制作に励んでいます。現在、私が制作している陶彫は、同じサイズの立方体にそれぞれ異なる彫り込み加飾を施したものですが、私なりに悩んでいることは、加飾のデザインです。作品には日付をつけているので、1年間を通して365体の立方体を作る予定ですが、ひとつひとつの立方体には同じ文様がありません。どれも異なる文様にしていて、そのバリエーションをどうするかを課題にしています。文様は既存のものを使っているのではなく、私が考え出したカタチで造形しています。矩形、三角形、円、曲線を用いた自由形態など、基本形を組み合わせて、さらに彫り込んだ厚みも加えて展開させていきます。密度もさまざまですが、具象的なイメージは一切盛り込んでいません。これは自分自身の感覚に対する挑戦で、どこまでバリエーションを増やしていけるか、同じサイズの立方体という手枷足枷の中で、どこまで展開していけるのか、実は楽しみながら試行しているのも確かです。私は几帳面な性格なので、形態の発展にも自分なりの条件を考えていて、気楽や気儘でないこともありますが、自分の整理的なカタチの上での納得を優先して文様を決めているのです。個展に来られた鑑賞者が一瞥でそこまで見取れないことは承知の上です。それでも自分なりの造形思考をやっていこうとしています。