Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 新作を進めた日
日曜日になり、いつも来ている後輩の彫刻家が工房にやって来ていました。今日は久しぶりに染織を学ぶ美大生も来ていて、工房は活気がありました。私がいつもやっている個展用の梱包作業は、工房の床を広く使うので、今日は2人の制作者がいるため、梱包作業は休んで、作業台ひとつで済む新作の陶彫立方体を先に進めることにしました。板材を使う梱包用の木箱作りに比べると、陶土は乾燥が進むために長く放置することができず、その分考慮して、梱包作業と新作の制作をうまく組み合わせて行っています。工房を使う人が複数いる場合を考えて、今日が新作の制作が出来るようなスケジュールを当てているとも言えます。創作活動になると私は忽ち嬉しくなって、時間が経つのを忘れます。陶彫立方体は既存の作品から見れば、規制の多い形態を持つ作品ですが、それでも新しい文様を考案して彫り込み加飾を行うので、気分は上がります。私は可塑性のある素材を20代の学生時代から使ってきました。勿論木彫のカーヴィングもやっていますが、私にしてみればモデリングの比率の方がよほど多いのです。私は形態把握をプラスとマイナス両方で考える傾向があって、そういう意味でも可塑性のある素材は自分に合っていると思っています。カーヴィングは彫り込む形態をどうするかという迷いより、決定と決断に重きをおいていることがあり、逆にモデリングは最後まで迷うことに身を捧げられます。可塑性があるということは決断に緩みを生じさせますが、その中で自己を発見することもあります。学生の頃に習作していた人体塑造は、私にとって恥ずかしいものばかりでしたが、立体把握に長けていたわけではなかった私にとっては、本当に厳しい修行でした。ロダンやブールデルの構築された塑造を見て、自分はそこまで到達できるのかどうか、その頃から自分の資質を疑っていたことも事実です。それでも芯がブレずに継続してきたのは何だったのか、自分でも分かりません。好きという思いだけで続けられるほど彫刻は甘くはないと思っているからです。