Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 継続する陶彫作品に寄せて
日曜日は後輩の彫刻家が工房に来て制作をしているのが定番になっています。私も来年に向けた新作に取り組んでいました。新作と言っても今までの作品の継続です。制作工程では慣れもあって、緩慢になりがちなところを毎回異なる彫り込み加飾で、緊張感を高めている塩梅です。この継続する陶彫作品があるために、1週間後に控えた個展では肩の荷が下りたことにはなりません。来年の個展で、漸く自分が思い描いたイメージ世界が出現するのです。嘗てNOTE(ブログ)に最小単位で最大の空間を獲得したいと私は書いた記憶があります。現在作っている陶彫作品は一辺20cmの立方体ですが、これを最小単位と考えれば、2年間かけて作る365点の陶彫立方体は、置き場をいろいろ変えることによって、最大の空間を獲得できるのではないかと思っているのです。最小単位の積み上げ、集合、拡散、点在などで創出される最大空間はどこまでも広げられるのです。教え子とのラインの中で、彼女は最小単位と最小単位との間に生まれる隙間の楽しさを私に伝えてきました。また、光と影が織りなす微妙な存在感にも言及していました。この感性に私はちょっと驚きました。そうだ、私は物体ではなく空間を作ろうとしているのだと改めて認識をした次第です。しかも創り出す空間は環境に応じて変化していくのです。その変化を楽しむのも大きな捉えで言えば彫刻だろうと思います。同じサイズの物体が整然と並んでいるのを見ると、私は襟を正したくなる癖があります。ヨーロッパを旅した時に見たギリシャ建築の列柱に、私は都市全体の構造もさることながら、その並列の美に酔いしれたのでした。都市にはコスモスもあればカオスもあります。東南アジアの混乱した街並みに、人間の生活臭を嗅ぎつけ、これもまた美と捉えられるなぁと感じました。最大空間の中にはコスモスとカオスが混在しているのがよいのかもしれません。最小単位で最大空間、これが今のところ私が求めるテーマと言えそうです。