Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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東京の美術館2ヶ所を散策
9月に入って初めて工房での作業を休みました。連日の酷暑で疲労が溜まってきたところだったので、ちょうど良い鑑賞の機会になりました。今日は家内を誘って東京の2ヶ所の美術館を回ってきました。最初に訪れたのは六本木の国立新美術館で、ここで開催されている「二科展」を見てきました。毎週末になると後輩の彫刻家が工房に彫刻制作にやってきます。現在、彼は桜材や松材を使った木彫をやっています。自然木を使い、そこから削り出す形態は、曲面を多用する塊から成り立つ有機的なものです。捻じれ、歪ませ、さらに穴を開けて生命の在り方を問うているようです。私が使う土とは異なる形態がそこにあります。土は人間の手が加わり、レンガにして建造物になったり、器となって生活に役立つものとなります。木材にもそれはありますが、樹木を見ていると、土以上に木が主張する特性があり、彫刻家の生癖としてそこを見取って、カタチを探り出すのです。彼が自然に近い形態を再現しているのはまさにそこに要因があります。木が発する声を聞き、その求めに応じて造形するのが彼の真骨頂です。その彼が二科展で会員に推挙されました。私は招待状をいただいたので家内と行って来たのでした。その後に私たちは同じ六本木にあるサントリー美術館に立ち寄りました。ここで開催されていたのは「虫めづる日本の人々」と題された日本美術の展覧会でした。これは中世以降の日本美術の絵画や工芸を通して、虫が表現された作品を集めたものでした。花鳥風月の中にそれとなく配置された小さな生命体は、それに着目すると結構面白いテーマであることに気づかされました。蝶や鈴虫、カマキリ、蝉、キリギリス、蜘蛛など風情に富むものもあり、謎解きのように絵画の中に隠れて存在する様子は、結果として周囲の草花をよく観察することになり、絵画を味わうひとつの鑑賞方法になっていたのかもしれません。美術館では演出として虫の声がしていて、季節が夏から秋に変わる雰囲気も満喫しました。詳しい感想は後日改めますが、江戸時代の有名画家の作品に暫し目が留まってしまいました。それも含めて再度NOTE(ブログ)にアップいたします。今日は充実した一日を過ごしました。