Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 プリミティヴ・アートと私
週末のNOTE(ブログ)のテーマは創作活動に関連したものにしています。今日は「プリミティヴ・アートと私」と題して自分の趣向の方向性を考えてみたいと思っています。私は小さな手帳に展覧会記録を残しています。最近のもので言えば9月14日「土方久功と柚木沙弥郎」展(世田谷美術館)で見た土方による木彫の仮面や柚木による町の人々を人形にした群像、10月5日「キュビズム展」(国立西洋美術館)で見たアフリカの仮面とその影響下で制作されたピカソやモディリアーニの作品の数々、11月8日「棟方志功展」で見た文様が画面全体に施された豊満な女体像を彫り込んだ板画の数々があります。この展覧会に通底するものがプリミティヴ・アートです。私は10代の頃からこうした素朴で生命力が漲る作品に惹かれてきました。高校生の一時期は作品の巧拙を気にした時期もありましたが、それは博物館で見た縄文土器や民芸店に飾られていたアフリカやアジアの仮面や彫像を見たことで、作品そのものが持つ力強さに惹きつけられていったのでした。縄文土器を美術の視点で論じた岡本太郎の「縄文土器論」も私を後押ししてくれました。海外で購入したドイツ語版「プリミティヴ・アート」も私の手元にあり、私の趣向は完全に人間の生の根源から発せられた表現に向っていったのでした。私自身の作品もプリミティヴなものが常に創作の底辺にあり、土によって現れる造形に生命の根源という魂を込めています。今日も朝から陶土と対話していました。時に私に従順で、時に私に歯向かってくる無言の素材は、私よりずっと永く地球上に存在し、焼かれた後も私よりずっと永く造形を保っているのです。後世、誰かが私の造形の一部を発掘することがあるのでしょうか。その時はそれをプリミティブ・アートと称するのでしょうか。私は想像を逞しくしながら今日の作業を終えました。