Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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12月初日 シュトレンの季節
12月になりました。今日は工房で作業をした後、川崎に住む友人の店に出かけました。ヨーロッパでこの季節に食べられているドライフルーツが入った保存用のパン・シュトレンを、私は大量に注文していて、それを受け取りに行ったのでした。友人は、私と同時期にウィーンに暮らしていました。私は美術学校に通い、彼は菓子工房で修業をしていました。シュトレンはその時に作り方を教わったらしく、彼は本格的なシュトレン作りに励んでいました。彼は帰国しても、小麦粉、フルーツ、マジパン等の材料はヨーロッパから調達していたので、私にしてみれば本場のシュトレンが味わえて、他の店には見られない満足感がありました。材料の価格が高騰している現在も、彼は注文のみでシュトレンを作り続けています。私はこのシュトレンを、同時期にヨーロッパに滞在していた彫刻の師匠や画家の先輩たちに郵送していく予定です。きっと皆さんにとっても懐かしさが込み上げてくるはずで、私がウィーンで表現の探求に苦しんでいた頃に、先輩の画家はウィーンの一室で細密描写に明け暮れていました。また師匠の池田宗弘先生はスペインで巡礼の道を歩いていて、ロマネスク美術に関する資料をまとめていました。シュトレンのカタチがキリスト教と深い縁があるため、キリスト教徒の師匠には格別の贈り物になるだろうと思っています。少しずつ輪切りにして、クリスマスまで食べていく硬質なパンは、寒さの厳しいドイツやオーストリアでは一般的な慣習です。極寒とシュトレンは私の中でも連想を齎すものなのです。日本も今日から12月になり、本格的な冬が到来した感じがしました。今月をどう過ごすのか、相変わらず彫刻制作に精を出す一方で、美術館や映画館にも足を運びたいと考えています。健康に留意しながら、元気にこの冬を乗り切っていこうと思っています。