Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 継続と展開
日曜日になり、いつものように後輩の彫刻家と染織専攻の美大生が工房にやってきていました。今日は梅雨が明けたのではないかと思わせる暑さで、空調施設のない工房内は大変な状況になっていました。とくに私は新作に向けて土練りをやっていて、汗が身体中から噴き出していました。私は陶彫による表現に取り組み始めてから、継続と展開が常に念頭にあります。継続とは単に技能をそのまま追い続けることではなく、また技能だけを巧みにしていこうという意図もありません。私は器用ではないので、技巧に走ることは免れていますが、作品の持つコンセプトを継続していこうとしているのです。陶でなければならない表現に常に立脚していますが、初めに陶ありきではなく、イメージを優先させています。ひとつ陶による世界を創出したら、次のステップとしてさらに深みと広さを兼ねた世界が出現してくるのです。それが展開です。展開は、現行作品に苦しんでいる時に突如やってくる新たなイメージと関連していて、自分が現在取り組んでいるものと、これから作られるであろう新たな世界がどう繋がっていっているのかを確かめる尺度にもなります。先日見に行った「若林奮」展の展示作品の中に「振動尺」というタイトルの作品がありました。自分自身と周縁に存在する物体の間に、それがどのように存在するのか尺度を自ら決めて、それを具現化した作品でしたが、私は内面の問題として、現行作品と未知の作品の間に展開という尺を持ち出していると言えます。内面は数値で測れるものではありませんが、納得できる一歩が確実にやってくるという保証として、展開という語彙を使っているのです。継続をしていかねば、その後の展開もありません。私は思いつきで創作しているわけではないので、階段を一段ずつ上がるように粘り強く継続し、その先に見える展開を楽しみにしているのです。工房内の蒸し暑さの中で、頭がボーとしながら、こんなことを考えていました。