Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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23’新報「評壇」より
ビジョン企画出版が刊行している新報には毎月「評壇」の欄があって、美術評論家の瀧悌三氏が執筆しています。ここに毎年私のギャラリーせいほうでの個展の批評を載せていただいています。瀧さんは初日に個展に来ていただいて、暫し私の制作裏話を聞いていただきました。毎年のことなので私も気兼ねなく瀧さんと話ができ、しかも好意的な空気を私は感じていて、作家冥利に尽きるものがあると思っています。「評壇」の文章を引用いたします。「陶彫。『発掘』シリーズⅩⅤ。今回は、表面を文様で加飾した立方体151点(1月1日から5月31日まで日付入り)を創出。円形に積み上げながら並べ、とり立てて整然とした構成にしていない。他に湾曲面に穴の明いたオブジェ4点を並べ、回りに玉砂利を敷いた箱形のもの(壺庭)があるが、壁面には、アクリルガッシュの抽象画を、同じく日付入りで、5面151点掲出。従来と異なり、1日1点のペースで制作する運びを構想、絵画はそれが可能で実現しても、立方体は陶彫なので、遅れて纏めて作るほかなかったが、それでも1日1点と定めた処は新たであり、その点やはり大きく動いたと言っていいようだ。」確かに今回の個展に展示した作品は、従来の発掘現場のような様相はなく、素材が出土品のような雰囲気を持つだけで、実際は造形を日記のように蓄積していく意図がありました。技法としては新しいものは何もなく、今まで培ってきた陶彫に次の展開を用意したと言ってもよいと思います。ただし、今回は全体構想の半分しか出来なかったので、来年には1年間分365点の作品が完成するので、自分の意図するところが鮮明に出るのではないかと思っています。小さなユニットを集合・拡散させて大きな空間を創出したいという私のアイデアは、随分前から考えていたもので、さらに次の展開もイメージしているのです。