Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

週末 加飾と日付
今日はいつもより気温が低かったので、朝から夕方3時過ぎまで工房で過ごしました。午後は工房に蒸し暑さが篭るようで、身体には辛い時間帯でしたが、やらなければならない作業があったので、暫し時間を忘れて取り組みました。現在やっている新作は陶彫による立方体で、同じ大きさで作っています。これは幾何形態による無機質な立体ですが、それぞれの立方体には異なる文様を刻んでいるのです。所謂彫り込み加飾で、私の彫刻作品には欠かせない存在です。彫り込み加飾は、以前NOTE(ブログ)にも幾度となく書いてきていますが、表面に浮き彫りを施しているのです。鉄筆で下書きをして、掻出しベラで表面を微妙に削り取って、文様が浮き彫りになるようにしているのです。これは丸彫りとしての三次元彫刻ではなく、寧ろ工芸的な作業です。私は抽象形態を扱っているので、彫刻としての立体は単純なものです。無機的なものでも有機的なものでも単純な形態には変わりありません。これは学生時代に習作していた人体塑造に比べれば、はるかに単純な立体ですが、そこに変化をつけているのが彫り込み加飾なのです。その文様には彫刻作品の個性を決定し、空間を演出する重要な役割があります。私は加飾、つまり装飾的要素においては、自分が海外にいた時に影響を受けました。その僅かな高低差が立体を覆うときに生まれる高度な雰囲気が、彫刻で主張する意思を補っていくのです。極めて感覚的なものなので、私には上手く説明できませんが、装飾が全体の立体を引き締め、さらに強調する要素があるように私には思えています。私が住んでいたウィーンには20世紀初頭に活躍したオットー・ワーグナーの装飾を有効利用した建造物や、ウィーン工房が内装を手掛けた空間があり、それらが常に私の脳裏にあるのです。もうひとつ、私が現在作っている新作に欠かせないものがあります。それは立方体一つひとつに日付を刻印しているのです。これは平面RECORDの発想です。陶彫に日付を彫り込んで焼成しています。1年間これをやり通せば365点で構成する作品になるのです。