Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

note

窯の修理とメンテナンス
今日は朝から窯の業者数人が工房にやってきました。7月の個展前に窯の焼成温度が上がり切らず、一度業者を呼んで見てもらったらヒーター線が1本断線していることが判明しました。(23’4月7日付NOTE参照)すぐに交換して事なきを得ましたが、個展が終わった途端にまた焼成温度が上がらない問題が発生し、窯全体を点検してもらうことになりました。結果としてやはりヒーター線の劣化だろうということになり、今日の修理に至ったわけです。私が所有する窯は200V、コイル式の窯で、6本のヒーター線が窯内を巡っています。今日は先日交換済みのヒーター線を除く他の5本のヒーター線の交換作業になりましたが、工房に窯を設置して10年以上が経過し、劣化と言われれば焼成回数を考えると、まさにその通りだと言えます。焼き物をやる者にとって、最後の焼成は陶土を作品化する上で最重要な工程です。窯炊きをしてその有りようが作品を左右するのです。私の場合は陶を使った彫刻なので、陶器としての機能はなく、釉薬の流れが齎す景色を味わうこともありません。人に言われるまでもなく陶芸の魅力は半減していると自覚していますが、あくまでも塑造した形態を石化して固めたい意志があるので、これで可としているのです。粘土を石膏に置き換え、さらにブロンズにする工程に疑問を感じたことに原由して、私は陶彫を永きにわたって作り続けています。暫く陶芸をやった後、そこから日用品でないオブジェを作り始めたわけではなく、まず彫刻ありきなのです。個展に来られた人から何故陶器を作らないのか問われることがありますが、発想の出所が違うとしか言いようがありません。彫刻を固めて古代出土品のように後世に残すこと、そのための窯であり、焼成という大切なプロセスなのです。