Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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週末 イメージを貯蓄する手段
この週末は今月最後の週末になります。週末には創作活動に関することを書いているので、今回は普段から造形的なイメージを貯蓄している表現手段について述べます。現在私が日中のほとんどの時間を費やして作っているのは陶彫で、平面に絵を描くのに比べると、常に陶土という素材に対峙するため時間がかかります。混合陶土を練り、タタラや紐作りによって立体に立ち上げ、彫り込み加飾を施し、さらに乾燥させて、仕上げと化粧掛けをやった後、窯に入れます。これだけの制作工程を経て作られるのが陶彫作品ですが、これをどのような作品にしようかというイメージは、当初に抱くだけで残りは職人的な仕事に終始してしまうのです。一つのイメージを具現化するのに時間がかかるのは彫刻の運命と言えます。そこへいくと私が陶彫と並行して作っているRECORDは、小さな平面作品なのでイメージを短時間で具現化し易く、しかもコンパクトなため整理等の管理も簡単で、イメージを貯蓄している表現手段としては抜群な媒体ではないかと思っています。ただし、イメージが泉が湧くように滾々と出てきているうちは、毎日が楽しい制作になりますが、別のことで頭がいっぱいな時は苦しむこともあります。教職との二束の草鞋生活の時代は苦しかったことの方が多く、何度もRECORDを中断しようと思っていました。造形イメージは心に余裕がないと湧いてこないのは確かで、その時は通勤電車の中でも、脳内で非日常世界を作り出し空想に耽りました。たまにホームページのRECORDの頁を覗くと、10年以上も七転八倒してイメージを捻りだしている過去が甦ってきます。イメージの貯蓄というのは、何にもしなければ貯まることもないのだということを改めて自覚しました。