Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 師が走る12月
    広場の模型作りの課題に取り組んでいる美大生から、材料の相談をメールで受けました。一緒に考えようと答えました。自分の制作以外で頭をめぐらせることは楽しみのひとつです。その美大生には自分が持っている様々な資料を与えます。こうしてひとつずつ吸収していくんだ、自分の引き出しをたくさん持っていくんだと若い世代の勉強ぶりを見て思います。自分も生涯勉強しなくてはならないと思うこの頃です。自分にも池田宗弘と中島修という師匠がいて、疾風の如く走る師匠を追いかけています。自分の後から追いかけてくる教え子たちがいます。慌しい師走になって、師が走るのは忙しい季節だからではなく、師から次世代へ受け継がれるレースをしているように思えます。こんなことを考えているうちに今年最後の1ヶ月になってしまいました。
    色彩を考える
    たとえば奈良の金剛力士像は巨大な木彫ですが、彩色されていたようで所々色が残っています。完成当時は華麗な色彩が施されていたことでしょう。自分の作品では木彫の部分は色をつけません。自然な木目が美しいので、そのまま残すつもりです。ただし横たえる厚板には砂を硬化剤で貼り付け、油絵の具を染込ませる予定です。さて、今回はどんな色にしようか思案しています。初めの企画には色彩計画があるのですが、実際のサイズにしてみると、これでいいのか迷うところです。今までは黒っぽい色彩にしました。陶彫が錆びた鉄のような色をしていたので、それに合わせた色を作りました。木肌に合わせた色は今までと同じというわけにはいきません。木肌を目立たせて共存できる色彩。画家と異なる色彩選びがこれから始まります。
    草月会館の「天国」
    重森三玲の庭園に劣らず、自分が最も好きな庭園空間は東京の草月会館にあります。玄関前にすっきりと立つ黒味影石、それに続く入り口吹き抜けのロビーには大小の自然石を配置した室内庭園が広がっています。「天国」と題されたイサム・ノグチの作品です。石の床で四段階に分けられ、それぞれを階段でつなぎ、最上階から下まで人工の川を作り、水が流れています。最上階にはつくばいが置いてありました。仕切られた空間に現れた雄大な世界に毎回見るたびに刺激を受けています。自然のままの石と加工された石を巧みに組み入れた秀作だと思います。
    重森三玲の空間感覚
    先月、「重森三玲の庭」展を見てきましたが、自然石を立てたり横にしたりして構成する庭園のデザインが、時々ふっと湧いて脳裏をよぎると楽しい気持ちになります。自然にある石、自然にある樹木、自然にある水を取り込んで空間を作るのが庭園です。自分のように木を彫ったりせず、自然の状態で見せる空間の感覚を持ちたいと常々思っています。隅から隅まで作ってしまう自分の表現がいつかパターン化して退屈になるのを予感しています。中島修さんの石彫でも石を割ったままの状態と磨きこんだ幾何形体を対比して見せた作品がありました。作庭家が自然を自身の大きな作為の中に取り込んで、ありのままのカタチをまとめ上げていく力は素晴らしいと感じます。重森三玲の個展図録を眺めながら、自分の作品を振り返ってみたひと時でした。
    4月の個展に向けて
    先日「ギャラリーせいほう」に行って、来年4月2日(月)からの個展の確認を画廊主としてきました。2月初めの横浜市民ギャラリーに出す作品は現在進行中の「構築〜包囲〜」。4月に出す作品はここ数年で作った作品を選んで、改めて構成し直して発表しようと考えています。作品がもつコンセプトをはっきりと打ち出せる大作2点、小品10点くらいが妥当かなと思います。画廊もリニューアルして綺麗になりました。作品の選定は図録作成のために行う写真撮影にも影響します。現在作っている木彫作品と併行して選定を進めなければなりません。師走を前にして慌しい日々です。