Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 雛形から実寸へ
    昨日から雛形を実寸大で作り始めました。実は雛形も途中なのですが、材料が届いたので、堪えきれずに厚板の切断を始めました。作品の下絵は実寸で書きます。それを厚板に転写していきます。構成要素が多い立体作品なので、最初は立体を作っている気がしません。パーツを組み合わせて初めて立体になるのです。新作は建築現場のようなイメージです。住居の骨組みのようなものを考えていて、昔は建前で棟上した屋根から餅を捲いた風習がありました。地方ではまだやっているかもしれません。人が長く暮らす家だからこそ家内安全を願う政事を行うのだと思います。住居にはそんな思い入れがあって造形表現を試みているのです。
    E.バルラハ展
    ウィーンにいた時、そこの美術館にE.バルラハの刀を振りかざした人体彫刻がありました。最初はK.コルビッツが作ったものだと誤解していました。あまりにもコルビッツの素描や版画と似ていたのです。人物を簡潔で骨太に表し、ルネサンス的写実とは異なる具象表現は、ちょうど20代にウィーンで暮らしていた自分の心にどっしりと棲みついてしまったのでした。それはドイツ表現主義に傾倒していく契機になりました。コルビッツの闘争的な社会性、バルラハの劇的な象徴性は、当時の自分のぎくしゃくした気持ちに直に訴えかけてきました。早速出かけたバルラハ展はかなり見ごたえのあるものでした。木彫は円空のような素朴さと宗教性をもち、木版画は神を題材にしながら人間的なドラマが感じられて興味深いものでした。ただ自分が初めてバルラハの作品を見たのが寒々とした冬のウィーンであり、そうした環境もあってかバルラハの鋭く単純化された形態に、厳寒のヨーロッパが思い出されて、いま日本の春爛漫の中で見るバルラハとはやや違う印象がありました。
    益子・笠間へ
    昨日、益子の陶器市、笠間の陶炎祭に行ってきました。どちらも毎年混雑しますが、昨日は天気に恵まれたこともあって大変な賑わいでした。どちらも若手の作家の作品に注目して、作風の移り変わりや日頃の成果を期待して見ています。笠間には旧友の佐藤和美さんがいて、佐藤陶房はいつもお客さんがいました。自分がやっている仕事と益子・笠間の作家の方々の作る作品の用途的な違いはあっても、同じ陶には変わりなく、いつもいい刺激をもらっています。和美さんの一見ボソっとした器に、実は細かな計算があって、それが多くのお客さんを引き寄せているのだということを改めて知りました。
    ギャラリーに「鳥瞰」アップ
    個展に出品した「鳥瞰」はレリーフによる屏風です。天空を飛ぶ鳥の目で見た世界を表そうとしたもので、全体はごちゃごちゃした構成になっています。ひとつひとつは抽象形態ですが、集合体になると具象的な景観になるようにしたつもりです。世界遺産になっている中世の街並やら敷石しか残存しない遺跡などを下地にしています。とくに旧市街の入り組んだ路地を上から見るとその無計画さが面白くて飽くことなく見入ってしまいます。そんな興味から「鳥瞰」は生まれました。
    陶炎祭
    茨城県笠間でこの時期に「陶炎祭」が始まり、私は連休の1日をつかって毎年必ず訪れます。栃木県益子でも陶器市があり、そちらもたくさんの観光客に混じって出かけます。器の魅力にあふれた店がいっぱい出て、とくに作家が出している店は小さなギャラリーといった趣があります。私は使い勝手の良さより、つい土肌の面白さに魅せられてしまいます。素朴でモダンな壺に活けられた何気ない樹木の青葉。蔵を改装した瀟洒な店に都会的なグッズ。今年はどんな出会いがあるのか、今からワクワクしています。