Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • ムア・防空壕の素描
    彫刻家が描くドローイング(素描)には傑出したものが数多くあります。ヘンリー・ムアの描いたドローイングの中でも、第二次大戦中に地下鉄の防空壕に避難した人々を描いた一連の作品は完成度の高さから言っても、世界最高の素描のひとつであることは間違いありません。自分は学生時代に美術館で見て、たちまち虜になってしまいました。人々が横たわる地下鉄構内は異様な雰囲気が漂い、黙して語らぬ群集がこうあってはならないと、表現として雄弁に語っている声が聞こえてくるようです。しかもムアの彫刻的イメージと結びついて、いずれ立体としても作れそうな描写です。当時20代の自分はドイツ表現主義の木版画に打たれ、こうしたムアの素描にも打たれて、生命の尊厳や激しさを求めていたのかもしれません。          Yutaka Aihara.com
    ムア・内なる空間
    豊かなボリュームをもつ彫刻で知られるイギリス彫刻界の第一人者ヘンリー・ムアは外に向かうボリュームだけでなく、彫刻の内側にもボリュームをもつ構造でも知られています。彫刻に穿った「穴」の造形をムアから知り、内側にも空洞というマイナスの空間があることを認識しました。つまり外と内にそれぞれ空間がある二重構造になっているのがムアの特徴です。これはあらかじめ内側を空洞にしなければならない陶彫の技法では、大変都合のよい空間解釈になります。陶彫は簡単に言えば陶器の壺に穴をあけることにより内側の空間を意識させるというものです。器の機能はなくなりますが、まさに外と内の二重構造をもつ彫刻に生まれ変わるのです。内なる空間は壁で遮られた空間であり、また秘められた部分とも思えて、覗いてみたい気持ちにさせられます。さらに全体構造を捉える意味で外と内に広がる空間は、視覚あるいは触覚を楽しませてくれるものでもあるのです。        Yutaka Aihara.com
    ムア・在るがままの存在
    河原で石ころを拾うと思わず「これはヘンリー・ムアだ」と呟いてしまうことがあります。水に洗われ風に晒されて造形された小さな石ころが、まさにムアの作る彫刻に近いボリュームを感じるのです。在るがままの自然(存在)、これがムアの彫刻なのかもしれません。自分は学生時代に人体を塑造することで彫刻の世界に足を踏み入れました。ボリュームのある塑造が自分の理想でした。イギリス彫刻界の第一人者であるヘンリー・ムアの豊かな塊をもつ彫刻は自分の理想でした。自分が憧れた軽やかな造形はその後に出てくるもので、初めはロダンでありマイヨールであり荻原守衛であり、やや抽象傾向を求めるとすればムアでした。抽象傾向と言っても大地から現れたような存在感をもつムアの彫刻はまさに具象の王道をいく造形とも言えます。母子像のようなテーマは命の源を表現していて、その大きさに健康的な精神が宿っていると感じています。                    Yutaka Aihara.com
    搬出という幕引き
    「構築〜解放〜」は第一幕の役割を終えて解体しました。またまた手伝いの方々の手を煩わせて丁寧に梱包されてしまいました。今度いつお目見えするのか見当がつきません。「RECORD」もエアキャップで包まれました。額は来年も使う予定ですが、次はどんな作品が納まることになるのかこれも見当がつきません。展覧会をやってしまうと作品は一人歩きを始め、自分の手を離れます。梱包されて戻ってきても何か違うモノになっています。カメラマンが撮影にやってきて映像として残すことはしていますが、それは映像という表現に生まれ変わって、また別の世界を作ることになります。というのは記録的な要素だけでなく、さらに一歩踏み込んだ写真ならではの表現になって、それはそれで面白いのですが、実体としての存在を示すのはまた次の機会を待たなくてはなりません。今日は搬出という幕引きに一抹の寂しさを残して横浜での発表を終えました。 Yutaka Aihara.com
    至福のひと時
    横浜市民ギャラリーには雪にも関わらず多くの方々が来られました。児童生徒作品展を見たついでとはいえ、私たちのグループ展も盛況でした。自分にとって一番嬉しいのは、自分に関わりのある若い世代の来客です。美大生や美大を目指す10代の子たち。自分と同じ道を歩もうとしている彼らは期待とヤル気と不安を抱えてやってきます。出来るだけサポートして希望を叶えてあげたいと思っています。受験前の不安を訴えたり、創作活動の手段や方法を相談されたり、アートの意味を問われることもありました。アートは生涯教育としても最高のものだと思います。その素晴らしさを多くの人にわかってもらえればと願い、丁寧な応対をしています。いや、しているつもりです。それは自分のとっては至福のひと時でもあります。師匠からいただく厳しい刺激と若い世代からいただく純な気持ち。そんなことに支えられて創作を続けられる自分がいます。                     Yutaka Aihara.com