2007.06.18 Monday
家を建てた時に、どんな空間を作ろうか思案しました。ずい分前の話ですが、この時が一番楽しかったように記憶しています。多額な借金をしたにも関わらず、家具にこだわりがありました。家具も借金でした。本来なら家の素材にもこだわりたかったのですが、これには手が回らず、フローリングにしろ壁にしろ色調を合わせるのがやっとでした。でも家具は別でした。いくら高価でも所詮家具と高をくくっていたのですが、請求書を見てびっくり。でも無理をして買うことにしました。飛騨の家具メーカーが英国の農村で使われているデザインに着目して作った重厚なダイニングと飾り棚。「プロヴィンシャル」という名がついています。オーストリア人の現代彫刻家のお宅で見た中世の木工家具に魅せられていたので真似をしたのです。でも毎日使っていても飽きることなく、ますますその渋さに魅せられていきます。そう考えれば家具はこれと思ったものを買うべきだと今でも思います。
2007.06.17 Sunday
2月から毎日描いている平面による小作品ですが、気づけば130点を超えています。今までの作品全てがペンによる線描で淡彩を加えています。毎日あれこれ試行しようと思って始めた連作ですが、発想を大幅に変えることができず、結局同じような画風になってしまっています。以前タウン誌の取材で3か月分を床に並べた時は、インタビュアーが「一貫性を感じる」と言っていました。実を言えば日々別の仕事に追われ、発想を膨らませることができず、一貫性にならざると得ないのが本当のところです。でもここにきて、ようやく新しいアイデアを入れてきました。合板によるレリーフを画面に貼って、ペン画と関連づけた画面を作ろうとしています。かつて陶彫で試みた「発掘〜鳥瞰〜」の紙製のようなものですが、結構気軽さがあって失敗しても苦にならず、これはこれでいいなあと自負しています。
2007.06.16 Saturday
最近急逝された現代彫刻家の飯田善国さんが出版したエッセイを、埃をはたいてパラパラ貢をめくって見ています。1977年に購入しているので、手許にあるのは初版です。自分がちょうど大学生の頃で、この本によって現代彫刻のことや海外の情報を知ったように記憶しています。初めて読んだ当時は作品の洞察力だけでなく詩情豊かな文章によって、遥か海外の憧憬が自分の中で膨らんでいました。オスカー・ココシュカに会った日の文章などは自分勝手なイメージを作って、ひたすら憧れていました。詩人エズラ・パウンドも同じ。ただここで初めてエズラ・パウンドなる人物を知ったのですが。自分もやがてウィーンで暮らし始めることになったので、生前に一度お会いしたかったと今では後悔しています。少なからず「見えない彫刻」から影響を受けた者として、飯田さんのご冥福をお祈りいたします。
2007.06.15 Friday
何年か前に神奈川県の大山の麓にある小さな美術館で藤田昭子さんが個展をされていたので見に行って、本人にお会いしました。昔から野焼きによるモニュメントを多く作られていて、住居ともオブジェとも言える造形に注目し、また羨望の眼差しで作品を追いかけてきました。表題の本はその個展の時に買ったもので、丁寧にサインをしていただきました。自分も陶彫による造形を手がけていて、やはりパーツに分けて窯に入れて、ひとつの大きな作品にまとめています。そこは藤田ワールドに共通するものがあって、展覧会があれば必ず見に行っています。この思索集も時々読んではまた本棚に戻す書籍のひとつです。昨日ブログに書いた「石のコトバ」も「思索集」も身の周りに置いて参考にする資料です。
2007.06.14 Thursday
海外で生活していた頃に購入した「STEINSPRACHE」という写真集があります。ドイツ語を和訳すると「石のコトバ」。繰り返し見ているので、表紙が黄ばんできています。ただイメージを掴むには大変いい写真が収められているのです。風景の中に何気なくある大きな石。そこにチョークで縞模様や幾何形体が描かれています。作為の施された大きな石と風景がモノクロの写真で撮影され、そこに不思議な調和が生まれています。まるで洞窟壁画や地上絵のように石器時代の産物のようです。環境芸術のひとつと言えます。自分の作業が始まり、またこの写真集を手にとって見ています。