2007.08.10 Friday
神奈川県葉山にある県立近代美術館に行って来ました。海水浴客で賑わう湘南海岸に比べ、葉山は若干人が少なめでした。美術館では「伊東豊雄 建築/新しいリアル」と題された個展が開催され、特異な建築家の全貌を見ることができました。建築は水平垂直の構造が通念となっていますが、それを乗り越えて、より自然に近いカタチで構造を支える実験的な取り組みが見て取れました。美術をやっている自分からすれば、建築の構造がこんなに美しく楽しいモノだとは夢にも思わず、伊東ワールドにのめり込んでしまいました。確かに外見だけが変わった建築はありましたが、構造そのものがまるで生き物のように伸びていく建築を初めて見ました。以前、東京原宿を歩いていたら突然現れた抽象彫刻のような建物「TOD`S表参道ビル」の美しさに惚れ惚れしたのを思い出しました。このビルにしても「せんだいメデイアテーク」にしても裏では構造上の計算や実験が数々行われていたことを今回の展覧会で知ることが出来ました。
Yutaka Aihara.com
2007.08.09 Thursday
夏の日差しの中、田畑が米やジャガイモやトウモロコシで緑のパッチワークを作っていました。山々も深い緑の遠景を作っていました。久しぶりに栃木県益子や茨城県笠間を訪れ、そこで陶芸をやっている友人たちに会ってきました。益子では「もえぎ本店」や「スターネット」を見て、陶芸の里でありながら、他の工芸品もモダンな店舗に配置し、トータルデザインとして演出する最近の傾向を感じました。笠間では陶芸美術館に行き「アジアの熱気 東南アジア陶磁器の魅力」を題した展覧会を見てきました。滅多に見られないクメール等の陶磁器に接してきました。夕方から当地に住む友人たちと食事をしながら楽しい話に興じ、充実した時間を過ごしました。自然と制作に対する姿勢が話題となり、普段は個々でやっていることでも、お互い共通する戸惑いや悩みがあるのを知って、それらを分かち合う良い機会になりました。
2007.08.08 Wednesday
自分がまだ大学の彫刻科に籍を置いていた頃、デザイン科共通彫塑研究室に若林奮先生がいました。直接教わることはなかったのですが、個展等があれば足を運び、また文章が記載されていれば必ず目を通していました。作品や考え方を理解したい彫刻家の一人でした。若林先生は自然現象全てにわたって独特な捉え方をされていて、作品として表れるモノも何かを提案し、また語りかけてくるような要素を持っていました。表題の本は2年前に読んだ本で、今回再び手に取ったのは横須賀美術館にある「Valleys」に触発されてのことです。「IW若林奮ノート」は前半部分がラスコーとその周辺の洞窟壁画に関するもので、実際に見てこられた様子を独特な切り口で伝えています。後半部分は様々な現象や風景に関するエッセイで、その関わり方を思弁しています。創作する作品にはそうしたモノに対する考え方が大きく反映していることを若林先生は示してくれているのだと自分は認識しています。
2007.08.07 Tuesday
横須賀美術館の前庭に盛り土があって、そこに巨大な彫刻作品が設置してあります。ただ作品は地上から伸びているのではなく、盛り土を切り裂いて存在しているので遠くからは見えません。「Valleys」と題された作品は題名どおり谷間を表現していて、盛り土をV字形に裂いて、その両斜面が鉄の壁になっています。大地を裂いたら鉄の壁が表れ出てきたという感じです。高さ3メートル、距離50メートルほどの谷間を歩くと、圧迫感があります。ところどころ鉄がうねっていたり、鋭角に突き出ていたりして表情が見てとれます。人の視点であるとか、モノの高さや角度、距離を改めて認識できるような立体作品です。谷から上を見ると広がる角度のためか空が開放的に見えます。足もとには窮屈な空間があります。そうした空間認識の在り様を鉄の谷間を作ることで表現しているのかもしれません。立体造形に取り囲まれて鑑賞あるいは体験する作品とも言えます。
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2007.08.06 Monday
昨日行った横須賀美術館には谷内六郎館があって、「週間新潮」の表紙になった絵をまとめて見ることができます。この日は自分の教え子で仕事の同僚になった人が一緒でした。彼女は谷内六郎の世界が大変気に入って、「カワイイ」を連発していました。20代の彼女は同世代の人たちより語彙が豊富で、普段「カワイイ」を使わない人です。でも谷内六郎の世界は思わずカワイイと言ってしまう要素があります。谷内六郎は素朴派の一人で、シュールリアリズムの画家と言っても差し支えないと思います。日本のひと昔前の風景に子どもがいて、その子の視点やイメージで、たとえば電線にとまっている鳥の群れが音符になったり、雨粒やかまどの中に風景があったりします。自分もこんなことを子どもの頃に思い描いたことがあったと思わず郷愁に浸り、そのカワイイ発想を楽しんでしまいます。老若男女全ての人に解りやすくシュールレアリズムの世界を提供していると言っても過言ではありません。