2007.08.05 Sunday
今年春にオープンした横須賀美術館に行ってきました。美術館の目の前は海水浴場になっていて、企画展と常設展を見た後、海岸に行って渚を歩き、海の家で昼食をとり(美術館のカフェは予約でいっぱいでした)また美術館に戻って谷内六郎館を見たり、屋上に上がったりして過ごしました。さて、企画展はイギリスの素朴画家アルフレッド・ウオリスの全貌を見せる内容でした。ウオリスは漁師や船具店をやっていた人で、70歳を過ぎてから絵を描き始めた異色の画家です。身近にあった厚紙や木の破片に塗料を使って、船や港の様子を描いていました。専門の勉強をしていないので遠近法などを知らず、それでも独特な構図や生き生きとしたタッチがあって魅力的でした。70歳から亡くなるまでの十数年によくぞ描いたりと思うくらい実体験に基づいた世界を描いていたのが印象的でした。
Yutaka Aihara.com
2007.08.04 Saturday
造形作品を作る上で、最も基本となる要素は点です。そこからカタチは始まるからです。カンデインスキーの著書「点・線・面」の冒頭に「幾何学上の点は、眼に見えぬ存在である。したがってそれは、非物質的な存在と定義せざるをえぬ。物質的に考えれば、点はゼロにひとしい。だがこのゼロには、人間的な各種の性質が潜んでいる。」とあります。そうしたところから点のもつあらゆる要素を論じ、「点は内面的にもっとも簡潔な形態である」また「点は時間的にもっとも簡潔な形態である」と結論づけています。点以上に簡潔なものはないと言うわけです。バウハウスで教壇に立っていたカンデインスキーが、造形美術をまずここから始めていたことは、今でも新鮮な驚きを感じます。もっとも始原的で基礎的な「点」からの展開が楽しみです。
2007.08.03 Friday
カンデインスキーの「点・線・面」は当時の芸術論としては画期的だったと思います。絵画的要素(立体も然り)をその最も基本とする抽象要素にして、人が作品を鑑賞する際に感じる内面性や精神性を、あたかも数学の法則のように解釈して論じたものは他に類を見ません。芸術を語るものであることは理解できますが、その論法は何か絵画や彫刻とは別のものを論じているように感じます。その中でも感覚的な部分に触れたり、曖昧なところを曖昧として扱ったりするところは、やはり芸術論の域を出ていないようです。しかしながら、こうした取り組みはキュビズムやシュールリアリズム、果ては現在に至っている芸術を見ていくと、やはり思考すべき道筋だったのかもしれません。今一度、現代美術が現代美術になった原点を考えるのは必要なことだと認識しています。
2007.08.02 Thursday
今夏再読しようと思っている本にカンデインスキーの著した「点・線・面」があります。再読とはいっても30年前に購入したものの数頁読んで放り投げてしまったものなので、今回新しく読むといった方がよいと思います。当時20歳になったばかりの自分は大学の彫刻科に籍をおき、昼間は粘土で具象彫刻を作り、夜は「ドイツ表現主義」の作家から影響された木版画を作る毎日でした。「ドイツ表現主義」から「バウハウス」に関心が移る中でカンデインスキーを知り、「点・線・面」を読み始めましたが、具象彫刻を作ることにほとんどの時間を費やしていた自分は、「点・線・面」の論理を受け入れられず、本論に入る前に書棚にしまい込んでしまったのでした。自分に「抽象衝動」が起こるのには、もう少し時間が必要でした。あれから30年。黄ばんだ表紙の埃を払って、遅ればせながら「点・線・面」を読むことにしました。前時代では新しかった考え方が現在ではどうなのか、興味が湧くところです。
2007.08.01 Wednesday
8月になりました。自分の時間が多く取れる1ヶ月です。今月は小さな陶彫によるランプシェードを作る計画があり、久しぶりに粘土に取りかかろうかと思っています。ずっとやっている365点の連作(ポストカード大の平面作品)の中で、陶彫ランプシェードのイメージデザインを試みています。小品といえども、スケール感のあるものを考えています。併行して木彫作品もやっていく予定です。作業場は木彫の柱が並んでいます。数本は荒彫りが終わっていますが、まだ全体の4分の1といったところでしょうか。昨年と同じ流れですが、365点の連作や陶彫ランプシェードが加わる分、今年の方が仕事量も幅も増えている状態です。今月をいかに有効に過ごすか、1年間の中で最も大切な1ヶ月を迎えることになりました。