2007.05.19 Saturday
来年発表する予定の新作「構築〜解放〜」は円卓のついたテーブル彫刻です。円卓になる板材は、先日より少しずつ作り始めています。今日はこの円卓を支える34本の柱を彫り始めました。まだ1本目ですが全体を気にかけながら、どんなカタチを彫り出していくかを決定する重要な一歩です。昨年と似た仕事なので迷うことはありませんが、作品の傾向がやや違うので円卓の重量に耐えられるかどうか不明です。昨年は雛型を作りましたが、今年はいきなり作り始めています。昨年より柱を斜めにして組み立てる計画なので、その角度やバランスが少々気になりますが、雛型でうまくいっても実寸の作品では無理が生じることがあるので、このままやってみようと思っています。明日は大小の鑿を研がなくてはなりません。
2007.05.18 Friday
出張の帰りに横浜の桜木町のガード下を歩きました。ここは有名なウオールペインテイングが描かれているところです。これら作品を見ながら歩いていると感覚が刺激されて愉快な気分になります。上手いなあと思う作品があると思わず立ち止まってしまいます。初めの頃、ここは本当に落書きで、よくガードレールにあるスプレーで雑に書かれたものとたいして変わらないものでしたが、今自分の目の前に広がっている作品はアートと呼んでいいくらいの表現に到達しています。最近は店舗のシャッターに絵が描かれていたりしますが、やはり桜木町ガード下のアートに比べると、やや見劣りします。ヨーロッパの街でも広場で、チョークでキリスト像を描いている若者を多く見かけました。こうした表現活動がもっと増えれば、街の散策はもっと楽しいものになるでしょう。
2007.05.17 Thursday
作業場の片隅に制作途中の板材を置いています。週末しか制作できないのですが、途中の作品を見てあれこれ考えることは毎日しています。次の週末は板材に組み込む柱材を彫ってみようとか、どんなカタチを彫りだそうかとか、考えているだけでも楽しくなります。本当に作ることが好きなんだなあと自分のことながら呆れてしまいます。制作途中の素材はいろいろなことをこちらに語りかけてきます。途中のままギャラリーに置いてもいいかもしれないと思う時があります。部分的にカタチを彫りだした素材は結構美しいものです。完成に近づくたび、作品がこじんまりしていくことを実感すると、あえて途中でやめてもいいかもしれないと思うからです。まだそこまで達観できない自分がいることも確かですが。週末が楽しみです。
2007.05.16 Wednesday
表題はみやさんの著作「ルーマニア 人・酒・歌」にある抄です。ギリシャの遊牧の村の記憶を昨年のブログに書きました(2006.9.13)が、これもみやさんの著作によって、かなり鮮明な記憶が戻りました。あそこは直系ルーマニア人であるアルマニア人の村であったこと、彼らは昔のしきたりに固執して民族の伝統に誇りをもっていることなど当時思い当たることがいくつもありました。牧夫たちに山の上の石室まで案内された時、さらに眼前に広がる岩肌を剥き出しにした崖を、たくさんの羊の群れが降りてきて、その光景に感動したことを今でも思い出します。当時記憶に留めたギリシャ特有の青い空と灰色した岩壁、乳灰色の羊の群れが、自分が現在制作している彫刻作品にスケールとイメージを与えていることは間違いありません。みやさんの本が未知の土地を書いたものであれば別の楽しみ方があると思いますが、自分にとっては生々しい記憶とともに甦る一冊になっています。ヨーロッパ原初の生活を垣間見たことが、自分の創作の原点にもなっているのです。
2007.05.15 Tuesday
みやこうせい著「ルーマニア 人・酒・歌」を読んで、当時みやさんに案内されたルーマニアのマラムレシュが甦ってきました。この本を読む前は自分の記憶を頼りにブログにルーマニアの思い出を綴ってきました(2006.9.7)が、本の中に登場するイベントや村の様子は、さすがみやさんはルーマニア取材の大御所とあって、読み進むうちに情景が目に浮かび、山々に木霊する村人の言葉やイントネーション、羊の匂いまでが甦ってくるようでした。あの頃自分はこうだったという当時の気分までも思い出してしまいます。家の内部を飾る絨毯の煌びやかな美しさ、朝靄に煙る山の上の教会、そういえば搾乳競争のイベントや伝統的な結婚式にも、みやさんに連れていってもらいました。それもつい最近のように感じて感慨一入です。本の最後にギリシャに触れていますが、そこも印象深いところでした。それはまた後日にします。