Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • ケーテ・コルビッツ模倣時代
    学生時代に唯一バイトで稼いだ金銭をつぎ込んでも欲しかった版画がケーテ・コルビッツの木版画でした。銀座の版画専門画廊にあったものに結局手が出せず、今となっては後悔しています。ケーテ・コルビッツの画集は洋書から翻訳したものまで、かなりたくさん買っています。自分も木版画をやっていて、コルビッツを初めとするドイツ表現主義の作風に魅かれていましたが、自分の作るものは全部気に入らず、版木を捨てていました。作品が刷り上って、しばらく眺めているとプロレタリア・アートかコミックのように見えてしまい、自分にはこうした表現が向かないのかもしれないと思っていました。コルビッツのような訴えるものがなく、ましてや棟方志功のような彫り跡の面白さもなく、悶々とした制作が続きました。コルビッツの木版画の部分を模倣したり、似た作風で試みたこともありますが、やはりワザとらしくなってやめてしまいました。コルビッツの何にそんなに魅かれていたのか、次の機会に振り返って自己分析してみたいと思います。
    ふたりの画家
    芸術家のアトリエや制作風景や周囲の環境を撮影した本を見つけると、すぐに買ってしまう癖があります。表題の本は写真家本橋成一氏による丸木位里・俊夫妻の日常を撮影したもので、とくにアトリエでの制作風景が気に入っています。この本を手に入れてから、埼玉県東松山市にある原爆の図丸木美術館を訪れました。もうかれこれ8年も前になります。都幾川が近くを流れ、美術館の向かいに和風のアトリエがありました。主人がいなくなったアトリエは空虚な感じを免れませんが、この穏やかで静かな土地で、あの原爆の図を初めとする多くの大作が生まれてきたのかと思うと、何か不思議な感じがしました。
    アトリエの101人
    こちらは先日ブログに書いた南川三治郎「アトリエの巨匠・100人」と同じ類の写真集で、田沼武能氏が撮影した日本人芸術家101人のアトリエ集です。全員が日本人なので馴染みがあって、より親近感を持って見ることができます。海外の作家にないのは、畳に座って描く日本画家の姿です。ここでも「アトリエの巨匠・100人」同様、ずっと昔教科書で見た芸術家の肖像が、あたかも近所のおじさんやおばさんのように撮影されていて、それを垣間見るだけでも楽しくなります。最後にとても丁寧な撮影ノートが記されていて、その芸術家の周囲、環境を知ることができます。こうした写真集は出版当時どのくらい売れたのか定かではありませんが、自分にとっては宝物のような一冊です。
    美じょん新報評壇より
    毎年この時期になるとビジョン企画出版から新聞が送られてきます。評壇に4月の個展評が載っているからです。今年はこんなふうに書かれていました。「遺跡から出土の鉄製品のように思えるが、陶彫を黒褐色にすることで、発掘品に見せているまで。そのように錯覚させる点が面白く感じさせる導入部。作品は球体や階段や様々な形があり、文様も複雑で、縄文の遺物的。」この文面は好意的な批評と受け取りました。他の個展や団体展の評を読むと、なかなか名のある作家の批評が多く、それぞれの人が様々な分野で自己追求している様子が伺えます。これを弾みにして頑張ろうかなと思います。
    アトリエの巨匠・100人
    表題は写真家南川三治郎氏が海外のアーテストのアトリエを撮影した写真集で平成6年に出版されています。昨日のブログ同様、繰り返し眺めては刺激をもらえる大切な冊子になっています。あとがきに「アトリエは、芸術家たちにとって秘密工房だといえる。私は、その秘密の工房の中に潜入したいと考えた。」とあります。彫刻家の端くれである私も他の作家のアトリエを覗き見たいと思います。海外の巨匠であればなおさらです。アトリエはその作家のもつ作品の雰囲気を端的に伝えるところだからです。写真から現れるものは作家の強烈な個性を物語る個性的なアトリエばかりで、なるほどこういう作風の人はこういうところに住んでいるのかと妙に納得してしまいます。本の中で会ったことのある巨匠はフンデルトワッサーで、独特な曲線をもつ建築の前で撮影されていました。植物の生い茂るアトリエの写真に懐かしさを感じてしまいました。