2006.12.30 Saturday
中国に二胡という楽器があります。二弦を弓で弾くと物悲しい響きが出る独特な楽器で、この二胡も別称で胡弓と言います。ところが今年の秋に行った富山県八尾の「おわら風の盆」で奏でていた胡弓は中国の二胡とは違う楽器に見えました。家内が興味を持って邦楽の演奏者に聞いたところ、中国の二胡と「おわら」の胡弓は違うもので、「おわら」の胡弓は日本独自のものだそうです。家内は幼少の頃にバイオリンを弾いていて、長い期間やめていたのですが、最近邦楽に興味が出て三味線を始めていました。家内が胡弓に興味を持って、この楽器が欲しいと言い出したのは私にも理解できました。胡弓はバイオリンと三味線の要素が合わさったようなものと私なりに素人の独断で考えました。購入するとなると飛騨高山から取り寄せになり、しかも注文があってから作るというのでかなり時間がかかるということでした。その胡弓が昨日我が家にやってきました。さて、日本で何人くらいがこの胡弓を演奏しているのでしょうか。八尾でもいくつかのグループが演奏していましたが、胡弓はグループに一人ずつしかいませんでした。家内は少数派演奏者の道を歩もうとしています。
2006.12.29 Friday
昨日が官庁御用納めの日なので、今日から休庁期間に入りました。自分は公務員なので正月休みです。家の掃除や片付けをしてのんびり過ごしたいところですが、来月のグループ展搬入や4月の個展のことを考えるとのんびりできず、間を惜しんで制作をしています。さすがに作業場の周辺は静かになりました。毎年新作を作って展覧会に出すというサイクルができてからというもの晦日も正月も制作の合間にやってくる休息期間のような感じになってしまいました。その年のケジメというものがないのです。今年は砂マチエールの硬化剤を乾かすための期間となりそうです。例年こんなふうに過ごしています。でも心は満足していて制作がなければ何の楽しみがあるのかと思うほどです。
2006.12.28 Thursday
作品を凄い集中力をもって一気呵成に作り上げられるならば、それに優るものはないと思っています。後先考えず制作に没頭し、時間を忘れて心底打ち込めば作品は輝きだします。創作行為は精神の産物なので、表現したい意思が強ければ、技巧を超えて訴えるものが表れてきます。そうした常軌を逸した精神世界に触れると、鑑賞する人々の心を動かします。それが感動です。自分の創作行為はどうなのかと言うと、作品のサイズやそれに伴う仕事量からして一気呵成には作れません。ただし長い時間の中で集中力のバイオリズムが生まれ、それでも表現したい意思は揺るぐことはないと思っています。坦々とした仕事量も最終的には完成したら生きてくるものと信じています。長い技巧の蓄積があって、またそれを塗りこんで壊してみたり、作り直してみたりしながら完成へと向かうのです。一気呵成に作れない魅力、つまり紆余曲折しながら一貫した計画を押し通すことができれば、鑑賞に値する作品ができるのだと思っています。
2006.12.27 Wednesday
新作「構築〜包囲〜」の骨子ができたところで、厚板に砂を硬化剤で貼る作業に移っています。砂を厚く塗ると厚板の重量が増して柱で支えるのが厳しくなるので、砂は薄めに板に擦りつけるように塗ります。ただ平たくしないように気をつけています。そこが左官職人とは違うところかなと自負しています。下手と勘違いされますが、コテの跡を意識して微妙なニュアンスをつけています。厚板は10数枚。1日1枚のペースですが、手間のかかる部分もあって、何時間も手許しか見ていない生活を送っています。硬化剤の臭いが部屋に充満していますが、油絵の具を使い出すとさらに臭いが浸みつきます。大きいキャンバスでも10数畳はないと思いますので、これからの作業を考えるとそこに人は呼べないかなと思っているところです。
2006.12.26 Tuesday
職場が休みに入り、夏休みの時のように朝から夕方まで制作に没頭できる毎日を送っています。時間があるという幸せを感じながら制作は佳境に入りました。夏から取り組んだ30本の柱は彫り上がりました。ナンバー代わりの印も仕上がり、和紙に押印して柱に貼りました。今はひたすらテーブルの部分を制作しています。畳サイズの厚板を10数枚使います。厚さは2センチ。穴をあけたり切り込みを入れたりした後、砂を硬化剤で貼り、油絵の具を染込ませます。この厚板を円形に組み合わせ、ボルトで留めてから30本の柱で支えます。つまり今回は直径5メートルのやや歪んだ円形テーブルを作っているわけです。この休みに入って初めて全体を組み立てました。ギャラリーの照明の当て方によっては、床に落ちるテーブルの影も作品として意図できると感じました。残りの日数を頭に入れながら最後の作業に入っています。