2017.08.08 Tuesday
休庁期間の2日目です。私は昨日に引き続き年休を取得していて、朝から夕方まで工房で陶彫部品の成形をやっていました。窯に入るサイズとしてはギリギリの大きさの陶彫部品なので、ひとつ作るのに骨が折れました。今までに作った陶彫部品の中で最大級のものかもしれません。彫り込み加飾は後日にしました。工房内は相変わらず猛暑で、今日も汗が噴出してシャツがびっしょりになりました。10年前と違い、現在の年齢でこれを連日続けるのは厳しいかなぁと思っています。ただし、陶彫をやっている時は、精神が研ぎ澄まされてフロー状態になっていることがあり、猛暑の不快感が消えてしまいます。我を忘れる瞬間がやってくると心が満たされるのです。これは比類のない充実感で、他のことをしてもこの充実感を得ることは出来ません。数日前、箱根に研修会で行っていた時に、多くの家族連れを見ました。家内にそのことを話すと、一般的に休暇はそういうふうにして楽しむものだと言われました。一般的な楽しみが私には楽しくなく、自宅で家内とテレビを見ていても退屈するばかりです。夜は専ら食卓でRECORDを描いている私は、昼夜を通して創作活動をしていると言えます。社会人としての仕事は責任職なので、それなりに割り切ってやっていて、神経を使う時も多々ありますが、創作活動で得られる充実感とは違う仕事上の達成感があります。仕事から帰って我に戻ると、何をしても楽しめず、創作活動に勤しんでいるのです。それでは創作活動は楽しいのかと言うと疑問も残ります。創作には刹那の楽しみがないからです。モノを創作することは苦しみを伴うことも少なくありません。それでも充実感があるので、魔力にでも憑かれたようにモノと格闘しているのです。
2017.08.07 Monday
昨年から私の職場では、山の日やお盆の時期を含めた1週間を休庁期間にしています。私たち職員は休庁期間と言えども勤務を要するのですが、仕事を減らして年休を取得し易い環境を作っているのです。電話も留守電対応にしています。私は昨年から思い切って仕事を休むことにしていて、この休庁期間を創作活動に充てることにしました。今日から始まった休庁期間ですが、晦日や正月の休庁期間と同じく毎日工房に通う予定です。家内が先日から整骨院に通いだしたため、この期間中は私が車で送り迎えをしています。これは都合がよかったと思っています。ただし、休庁期間と言えども職場に出なくてはならない日もあります。今日は工房に篭りました。空調がない工房は大変な暑さで、水分を取りながら作業をやっていますが、それでも滴る汗の量が半端ではありません。朝9時から午後3時までの間にシャツを4回着替えました。シャツは汗が搾れるような濡れ具合です。12時に自宅に戻って昼食を取りましたが、味噌汁や漬物が妙に美味しかったのは塩分が不足しているせいかもしれません。今日の作業は陶土を土錬機にかけて、その後に手で菊練りをしてビニールで包む作業で、制作工程の中では肉体労働になります。汗が噴出したのはその作業のせいだろうと思います。畳大のタタラも6枚作りました。陶土を掌で叩いていると汗が陶土に染み込んでいきました。今までも夏の作業は似たり寄ったりで、仮の作業所で制作していた時も、日々暑さとの闘いでしたが、不思議と健康に過ごせていました。でも10年前とは違うなぁと感じていて、こまめに休憩を取って、最近は空調の効いた自宅に帰るようにしています。自宅で休んでいると、工房に戻ってくるのが辛くなるので、一日のノルマを決めて作業をしています。
2017.08.06 Sunday
大変な暑さに見舞われている毎日ですが、朝から工房に出かけました。新作である大きなテーブル彫刻は、今夏の個展で発表した「発掘~宙景~」の制作時に併行して作っていたので、テーブルの下に吊り下げる陶彫部品12個は既に出来上がっていて、先週末に修整を終えています。柱陶も半分くらいは出来上がっているので、残りの陶板を作れば、それほど手間をかけずに出来上がっていくはずですが、新作は「発掘~宙景~」とは完成イメージが異なり、テーブルの床に置かれる陶彫部品があるのです。吊り下げられた陶彫部品と床から立ち上がる陶彫部品が中間地点で繋がるようにしたいのです。繋がるというのは接着することではなく、上から降りてくる陶彫部品の真ん中の空洞に下から立ち上がってくる陶彫部品が入り込むようにしたいと思っているのです。そのために床から、どのくらいの大きさと高さで一段目を作っていくのか、先週末はあれこれサイズを測ってみました。一段目の陶彫部品について、先週末考えた設計図を今日は手直しをしました。当初8分割としていた設計図を6分割に変えました。窯に入るギリギリの大きさですが、細かく分けるより、多少無理をしても大きく作った方が重量感があります。その一段目の陶彫部品からテーブルの外へ迫り出してくる樹根のような造形も、逞しく太く作ることが出来ると判断したのが6分割にした理由です。陶彫部品は大きくなればなるほど罅割れや歪みを心配しなければなりません。それでもこれは効果を狙った完成イメージへの挑戦とも言うべきもので、可能な限り妥協をしたくないと考えたのでした。いよいよ陶土を使おうとしたところで、以前土錬機にかけて作り置きをしていた陶土が、かなり硬化していたため、もう一度土錬機に入れ直さなければならないことになりました。ここまでで私のシャツは汗が滴るような按配になっていて、酷暑の中での作業に厳しさを感じました。うーん、今日はここまでで引き上げようと思い、持っていた水分を飲み干しました。また次回頑張ります。
2017.08.05 Saturday
昨日から宿泊を伴う管理職研修があって、今日帰ってきました。毎年この時期に、横浜市の私が所属する職種の管理職は宿泊研修をやっているのですが、費用は自己負担です。せいぜい他に気を使うことがなく、箱根の温泉に浸かれるのが自己負担のいいところかなぁと思っています。今日の午前中に帰ってきましたが、工房に行く元気が出ず、自宅で休んでいました。数年前までは時間の余裕さえがあれば工房に行って制作に励んでいましたが、今は緩くなっています。ゴールが近づけば気合が入って、常軌を逸した制作になることは間違いなく、ゴールから一番遠い今は比較的緩い状態で過ごしているのです。この機会に山積みされた過去のRECORDに手をつけようとしましたが、これも気持ちが入らず、今日は全ての制作を諦めることにしました。家内が左足の膝に痛みがあって、胡弓の演奏に影響が出ています。私は車で家内を整骨院まで送り迎えをすることにしました。骨には異常がないようで、膝の裏側の筋に炎症を起こしていることがわかりました。胡弓の演奏は中腰で行うため、それを何時間も続けてやれば、足腰に変調を起こすことは分かっていましたが、野外の街中で多くの人々が見守る中で、途中で演奏を放棄することが出来なかったと家内は言っています、このところ何日も演奏が続いたので、この事態になったのでしょう。家内も私同様に休息が必要だと思いました。私は明日こそ制作を行います。
2017.08.04 Friday
先日、東京駅にあるステーションギャラリーに立ち寄り、日本画家不染鉄の展覧会を見てきました。没後40年を記念して開催された回顧展でしたが、私は不染鉄という日本画家を知らず、初めて見る作品ばかりでした。まず、民家の立ち並ぶ俯瞰した風景画に魅了されました。墨の濃淡や暈しを利用した「朦朧体」や南画の影響が見て取れましたが、その画力の高さに驚きました。ポスターにもなっている「山海図絵(伊豆の追憶)」は富士山を描いた大作ですが、ちょうど箱庭を見るような独特な構図と描写が際立っていて、集落や手前に広がる海岸線、波間に泳ぐ魚や漁をする船もあり、俯瞰と接近描写が一つの世界を形作っていました。雪を頂いた富士山を描いた日本画の中では、独自の視点をもつ不染鉄の代表作とも言えます。不染鉄は、各種展覧会での数々の受賞歴があり、若い時は大島に渡って漁師をやっていたり、奈良では教職に就いたりして、エピソードの多い変わった生涯を送った人のようでしたが、画壇とは一線を引いていたので、知名度は実力ほどになかったのではないかと感じました。今回の展覧会には多くの人が訪れて、不染鉄ワールドに酔いしれていました。描写力と様式美が混在する画風は、見ていて分かり易い一面もあって、今後人気の出る画家かもしれません。私は個人的に不染鉄ワールドに度々登場する大海の波の表現が好きで、そこに点在する島々との描写対比が面白かったし、超絶技巧とも言える集落の表現に惹かれました。さすが漁師をやった人だけあって、海を人一倍見て過ごしていたのでしょう。絵画が単なる様式にならず、説得力をもっているのは、実体験からくる海の観察があればこその表現であろうと思います。