2024.12.02 Monday
先日、ホームページにあるギャラリー・ページに「発掘~双景~」をアップしました。陶彫による2つの塔が立ち上がっていくイメージを具現化したもので、同じ力量の相対するものを存在させることで、まず二極化した思想をどう扱うかが頭にありました。この2つの塔を大地を這う根で繋げることも考えました。2つの塔は分断ではないことを示したかったのですが、それでも同一の養分で育っていったものが上に向かうほど、お互いをそれぞれ主張し、やがて別の思想体系を作ってしまうことを表現したかったのでした。ライバルとしての存在が自らに競争力をつけ、さらに上層のステージに押し上げることが往々にあります。その関係性は時に活力を齎し、時に妬みや嫉妬も生んでしまいます。それでも2つの塔を大きく捉えれば、成長の過程としては幸福な在り方と言えそうで、単独で何かを成し遂げるより、はるかに大きな成果を期待できると考えています。陶彫という素材は、私が長年やってきた「発掘シリーズ」で示している通り、発掘された出土品としての雰囲気を纏い、人為的な古代住居を表していたり、また地下茎から大地を割いて上に伸びる植物的なニュアンスもあり、鑑賞してくださる人の感覚でさまざまな解釈をしていただいています。言うなれば芸術作品に正解はありません。見る人が感じたままで結構なのです。私自身もイメージの源泉はあっても、結果の判断を説明することはありません。どうぞ、ご自由にというのが彫刻作品「発掘~双景~」なのです。ホームページの「発掘~双景~」を見ていただけるなら、まずホームページのギャラリー・ページをクリックしてください。それぞれの作品の部分画像が出てきますので、2つの塔のある作品にカーソルを当てていただければ、画像が一点ずつ現われます。ご覧になっていただけると幸いです。
2024.12.01 Sunday
今日は日曜日ですが、12月1日でもあります。12月は師走とも呼ばれていて、僧侶(師)たちが忙しく各地を駆け巡る意味があることから、私は教職に就いていた関係で、教師だって今月は忙しいんだと考えていました。確かに中学校では進路選択の時期でもあり、成績処理もあったりして、多忙を極めていました。退職した今もその習慣から逃れなくなっていて、12月と聞くと何となく慌ただしい気分になるのは職業病の名残とも言えそうです。今は彫刻家一本なので、先月と変わらず今月も創作活動に専念すればいいと自分に言い聞かせていますが、気分的に焦るのは永年培ったもので仕方ないのかもしれません。来年7月に個展で発表する新作は、4本の古木にそれぞれ陶彫部品が組み込まれるもので、床に4本の古木を自由に横たえて置く計画でいます。古木の左右に同型形態の陶彫部品を置き、それを陶の橋で繋ぐ予定でいます。まず今月の制作目標は、古木と陶彫部品の関わりを決めていこうとしています。古木は実家の大黒柱だったもので、その素材そのものを何とか残して作品化するので、彫り込みは最小限にしようと思っています。ただし、長さだけは4本がバランスよく床置きできるように僅かばかり切断して揃えるつもりでいます。古木が複数の陶彫部品に囲まれた大地の核のように見えれば、ひとまず最初のイメージは達成したかなぁと思っています。同時に今回は平面作品をイメージしていて、そこに絵画性を持ちこもうとしています。絵画性といっても描写は考えていません。絵の具を使っても偶発性に頼った表現になるのではないかと思います。今回は立体と平面で表現方法が異なっても別物とは考えていないので、双方の表現でひとつの世界を形作るものとしてイメージしています。対岸を橋で繋ぐことが新作の見せ場になるかなぁと思います。今月も頑張って作っていきます。
2024.11.30 Saturday
週末になりました。今日は月末でもあるので、11月を振り返ってみたいと思います。今月は作業をするには絶好の季節になり、創作活動に弾みがつきました。朝9時から夕方3時か4時まで陶彫制作に明け暮れ、新作のイメージが次第に明確になってきました。古木との組合せはまだ始まっていませんが、私の頭の中では組合せが固まりつつあります。今月は30日間あって、工房に通ったのは29日間ありました。一日休みを取ったのは体調不良によるもので、美術館や映画館に行った日も朝には工房に出かけ、窯内の温度確認やら道具や素材の管理をしていました。窯も5回焚いていて、1ヶ月の記録としては最大回数かもしれないと思っています。今月は美術鑑賞や映画鑑賞が充実していました。展覧会では「英一蝶」展(サントリー美術館)、「仮面絢爛」展(神奈川県立歴史博物館)、「ミュシャ展」(府中市美術館)、「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」展(角川武蔵野ミュージアム)、その他では教え子が学んでいる大学の芸術祭(多摩美術大学)に行きました。映画鑑賞では「SHOGUN 将軍」(相鉄ムービル)、「謎の巨匠 ルネ・マグリット」、「アンドレ・ブルトン ドキュメンタリー集」、「マックス・エルンスト 放浪と衝動」(3本とも横浜シネマリン)に行きました。今月の鑑賞の機会は合計9回あって、これも1ヶ月の記録としては最大回数ではないかと思います。ホームページでもギャラリーページに「発掘~根景~」と「発掘~双景~」の2点をアップしました。「発掘~双景~」のコメントは機会を改めますが、ホームページも次第に充実してきました。読書では抽象芸術に関する書籍を読み終えて、現在は世紀末芸術に関する書籍を読んでいます。来月もこのままのペースで頑張っていきたいと思います。
2024.11.29 Friday
今日は週末ではありませんが、明日の土曜日が11月最終日になるため、明日に今月の振り返りを行ないます。そこで一日早い今日を今週の振り返り日にしたいと考えました。今週は朝から夕方まで工房に通い、陶彫制作に精を出していましたが、火曜日と水曜日の夕方、横浜の中心街にあるミニシアターに出かけていきました。2日間連続で映画を観たのは久しぶりでした。「シュルレアリスム100年映画祭」と称してシュルレアリスム宣言から100年目に当たる今年、7本のシュルレアリスム映画が企画上映されることを知って、そのうち3本を観てきたのでした。映画の製作年は古いものでしたが、ルネ・マグリット、アンドレ・ブルトン、マックス・エルンスト本人たちがそれぞれ登場するドキュメンタリー映画で、貴重なフィルムだなぁと思いました。一日目に2本、2日目に1本と映画三昧をやりましたが、美術系の内容だけあって私は元気が出ました。木曜日は窯入れがあって工房が使えず、一日かけて家内と埼玉県所沢にある角川武蔵野ミュージアムにモネの絵画をベースにした映像作品展を見てきました。ここは8mの高さの巨大本棚が設置された本棚劇場があって、書籍好きにはたまらない魅力がありました。横浜から所沢まで車で行くとなると環状8号線を通らざるを得なくなり、行きも帰りも渋滞していて結構時間がかかりましたが、美術館&図書館が圧巻だったので、渋滞の疲れも飛んでしまいました。20代の頃、海外生活でよく遊んだ友人がパテシエになり、川崎に店を構えています。その彼がこの時期にシュトレンを作っているので、今日は幾つか購入してきました。シュトレンを入手すると、もうすぐクリスマスだなぁという気分になります。ヨーロッパでは一般的だった菓子パンが、最近は日本でも食べられるようになって幸せを感じます。私が海外から帰国した40年前にはシュトレンがなく、彼が作る唯一のシュトレンに舌鼓を打っていました。教職に就いていた頃は、職場でシュトレンを薄く切って配っていました。今となっては良い思い出です。
2024.11.28 Thursday
今日は朝から家内と埼玉県所沢市にある角川武蔵野ミュージアムに行ってきました。当館を訪れるのは初めてであり、私は未来型の美術館や図書館の在り方を考える機会になりました。まず隈研吾氏が手がけた岩石の塊のような斬新な建築に圧倒されました。館内に入ってみると、4階と5階をぶち抜いた本棚劇場にも興味津々でした。書棚がギャラリーとして鑑賞される発想に、私の自宅も壁一面を書棚にして、それが向かい合っているので、半ばギャラリー化しているのではないかと内心嬉しくなりました。その本棚劇場でプロジェクションマッピングが上映されて、不思議な体験が味わえました。1階には当館最大規模の展示空間があり、現在は「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」という企画展をやっていました。印象派を代表する画家クロード・モネ、その色彩は移ろいゆく景色や時間を捉え、生涯追い求めた水面に漂う睡蓮の大作を、イマーシブコンテンツとして周囲の壁全面に投影し、鑑賞者をまさにイマーシブ(没入)させるデジタル・アート作品として仕上げていました。プロジェクションマッピングの技法が今ではさまざまなところに使われ、そこにオリジナル作品がなくても、映像の力で1点の絵画を見る以上の没入体験が出来ることを示しています。本展もモネの作品の前に有名な印象派画家たちの作品も上映されて、その色彩と光がもつ魅力が十分に引き出されていました。モネが影響された日本の浮世絵も映し出され、やがてモネの揺らめく筆致に繋がり、その色彩が怒涛の如く壁全面を覆い、煌めいて展開していく様子は、まさにモネが旅人のようになって光を追っていく生涯を描き出していました。私も含めて日本人の多くがモネの作品を愛好しています。何故モネが好きなのか、本展を見ているとその謎が解けたような気がしました。私たちは曖昧な世界の中に漂う真実の輝きが好きなのではないかと思ったからです。現代のテクニックがこうした名作を際立たせることに、今日は納得してしまいました。