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  • 表現主義における神秘思想
    「表現主義の精神的背景」(大森淳史著)という論文の中で、「カンデインスキーは1907年頃から、神智学協会ドイツ支部長であったルドルフ・シュタイナーに惹かれて神智学の熱心な信奉者となった。[芸術における精神的なもの]など彼の著述に一貫する唯物論(物質主義)への攻撃的姿勢は、彼が原子論を認めず、有機体と世界の非物質的根拠としての霊的[精神的]エネルギーの存在を確信していたことを示している。」とあります。カンデインスキーが内なるものを表現するにあたって、彼がこうした神秘思想に影響され、やがて無対象絵画(抽象絵画)に繋がっていくプロセスが用意されたと言っても過言ではないでしょう。目に見える対象から、目に見えないものを見えるように表現するドイツ表現主義の考え方のひとつに神秘思想があることが、これでようやく納得できました。                Yutaka Aihara.com
    ドイツ表現主義 初めの一歩
    中学校や高等学校の美術の授業では印象派の描き方を教わった記憶があります。風景や静物をモチーフにして、光や陰影を色彩を駆使して描いたりしました。写生が好きだった自分は陰影に黒は使わず、光との関係で青みがかった色彩を用いて、周囲から褒められたことがありました。ところが美大受験の頃になって、印象派とは異なる世界観を持つ美術に接することになり、たちまち虜になりました。その頃自分は工業デザインをやろうと思っていて、構成的な基礎勉強をしているうち、この構成主義ともいえるものが実は高校時代に親しんでいた印象派とは違う由来をもっていることを知りました。いわゆる抽象芸術に知識として触れた最初の一歩でした。由来を辿るとドイツ表現主義にいきつき、表現主義の「見えないものを見えるように表現する」考え方を押し進めていくと、やがてデザインに応用される構成的なものになっていくことがわかりました。このところずっとブログに書いているカンデインスキーが重要な役割をもって、こうした運動を推進していたこともこの頃知ったことでした。                         Yutaka Aihara.com
    「コンポジションⅦ」の印象
    画家カンデインスキーのまとまった展覧会は2002年の春頃に東京国立近代美術館で開催されています。印象派の展覧会と違って、人ごみの中を観てまわることはなかったと記憶しています。自分が印象に残った作品は油彩による大作の「コンポジションⅦ」。対象は解体され、ほとんど何が描いてあるのか不明でしたが、色彩のハーモニーが美しく、色彩と渦巻くフォルムが圧倒的な迫力をもっていたことが印象的でした。当時購入した図録にはカンデインスキーの言葉が掲載されています。「コンポジションという言葉を耳にすると、私は心中大いに衝撃を受けて、後には[コンポジション]を描くことを自分の生涯の目的としたのである。」この言葉からわかるようにこの「コンポジションⅦ」は何が描いてあるのかという対象は問題ではなく、構成そのものを表現しているので、感覚をダイレクトに受け入れるべきと考えます。抽象絵画の鑑賞はまずそんなところから始めるのがいいと思います。
    コンポジションとしての絵画
    表題は江藤光紀著による「カンデインスキー/コンポジションとしての絵画」で、夏からずっと画家カンデインスキーに関わる文献を漁っていた自分が、「青騎士」「点・線・面」といった翻訳を読み終えた後、ようやく辿りついた日本人研究者による論文です。文中にカンデインスキーが抽象に向かう箇所があって興味をもちました。「画家は[対象が自分の絵を損じる]とはっきり理解した。マレーヴィッチやモンドリアンといった他の画家と異なり、カンデインスキーは除々に抽象の戸口へと惹かれていく。暗闇の中を手探りするように。〜略〜だが代わりに何が目的になるかが、次に生じた深刻な問題だった。技法についての精力的な探求はそうしたカンデインスキーの芸術思想の深化を表している。深化はおよそ表現と記号にかかわるすべての領域に広がっていった。」この本を通じてカンデインスキーが音楽やダンスをも包括するような思想を持っていたことが理解出来ました。            Yutaka Aihara.com
    ガラス絵のイコン
    昨日カンデインスキーの宗教画についてのブログを書いていて、ふと我が家にも宗教画(イコン)があるのを思い出しました。しかも玄関に飾っているのに気にとめていませんでした。我が家にあるイコンはガラス絵です。ルーマニアのベユーシに住む友人から贈られたもので、ガラス絵の由来はよくわかりません。20数年前にウィーンに住んでいた自分のもとに旧知のルーマニア人画家夫妻がやってきて、携えてきたイコン3点を置いていきました。当時ルーマニアからの出国は難しく、よくぞ西側に来れたものと心から彼らを歓待し、ウィーンを案内しました。イコンは日本に持ち帰り、古材で枠を作り、3点を並べて壁に掛けることにしました。素朴派絵画といったらいいのか、ちょうどココシュカの「夢見る少年たち」に似た表現でイコンとしてでなく、アートとしてとても気に入っています。現在はすっかり我が家の玄関に馴染んでしまいました。                      Yutaka Aihara.com