2007.05.10 Thursday
益子と笠間。陶芸の里として有名な2つ町が隣接しているのは、横浜在住の自分としてはとても有難く思います。益子に浜田庄司の益子参考館、笠間には北大路魯山人の春風萬里荘。比較の対象にはなりませんが、いずれも文化的な施設で貴重な町の財産だと思います。春風萬里荘は笠間日動美術館の分館として北鎌倉から移築されたものです。北鎌倉には北大路魯山人の星岡窯があって、春風萬里荘はその母屋として使われていたものだそうです。茅葺き入り母屋造りの立派な建物で、魯山人が設計した茶室があったり、「アサガオ」と名づけられた陶製便器があって、なかなか素敵なところです。庭もなだらかな高低があって一回りすると気持ちのよい散歩になります。ここも益子と同じく既に何度か訪れて、最近では人を案内して行く程度ですが、行けば必ず豊かな気持ちになれるところだと感じています。
2007.05.09 Wednesday
栃木県益子に行き始めた頃は、よく益子参考館を訪れました。角に大手陶器販売店ツカモトの支店がある三叉路を共販センター方面ではなく、反対側にある小さな小道を入っていくと、まもなく大きな日本家屋の立派な門が現れ、その奥にさらに大きな母屋があります。それが益子参考館と言われる浜田庄司の仕事場兼住居だったところです。その規模に驚き、仕事場の雰囲気に憧れてしまいます。また登り窯の様子がよく伝わるように保存されて、まさに当時を偲ばせる場所になっています。浜田庄司は肉厚のおおらかな大皿に釉薬を流しがけて飴色に焼く、いわゆる現在でもよく目にする益子焼のカタチを作った人です。益子焼が現代工芸の中でも温かい民芸としてポジションを与えられているのはこの人の功績と言っても過言ではありません。最近は人の案内でしか行かなくなってしまった益子参考館ですが、たまに訪れ、母屋にある喫茶店でコーヒーをいただくと、とても優雅で豊かな気持ちになれます。
2007.05.08 Tuesday
365点の連作が5月に入って、今テーマとしているのは仮面のようなモノです。京都の五条坂に記念館のある陶芸家河井寛次郎は、民芸の世界で名のある人ですが、陶芸と併行して木彫を作った人でもあります。それも土俗面の雰囲気を残した抽象化された木彫面です。京都の河井寛次郎記念館で、このお面を見た時は、古い木造建築の中でひときわ異彩を放つ存在に驚きました。制作年代を見ると河井寛次郎が60歳から70歳にかけてこの木彫面を作ったことになっています。この年齢にして作品が放つ若々しい感覚はどこからきたものでしょう。名を残す作家は、若い頃いろいろな制約の中で技巧を見せ、円熟するにしたがって自分を解放し、あらゆるものから自由になるものでしょうか。
2007.05.07 Monday
益子や笠間に行って若手陶芸家の作品を見てくると、自分の制作に弾みがつきます。益子や笠間はヤル気をもらえる場所なのです。自分もいよいよ新作の木彫を始めました。板材のデザインや組み合わせは、大まかにイメージが出来ていますが、雛型を作ろうかどうか迷っています。柱を何十本か立て板材を支える構造で、そこは去年と同じですが、今年は内包ではなく解放するカタチにしようとしています。坦々とした仕事を今年も始めようとしています。規則正しい作業が自分には向いているのかもしれません。別に他に仕事を持っているからというものではありません。たとえ彫刻の制作だけで毎日を過ごしていたとしても、朝から夕方まで同じ作業を繰り返す日課になるだろうと思います。それが自分流なのです。
2007.05.06 Sunday
栃木県益子と肩を並べて、茨城県笠間の「陶炎祭」も人が混み合うイベントです。ここにはブログに何回か書いたことのある佐藤和美さんが出店しています。「佐藤陶房」は健太・和美夫妻がやっている店で藍染のマルサが目印です。作品は土っぽい自然な器で、温かく柔らかい雰囲気を持っています。毎年私は出発前に飲み物や食べ物を準備して店を訪ねていきます。店を閉めた後、仲間でプチ宴会を行うのが楽しみなのです。もちろん佐藤和美コレクターを自負する自分は必ず新作を購入します。今年は木の枝のように長い一輪挿しを求めました。佐藤陶房で手伝いをしている冨川秋子さんも若手作家の一人で、美大で陶磁器を専攻し、今は笠間の窯業試験場で研修中です。冨川さんの陶は自然をイメージした風に震えるような浮遊感のある軽やかな作品です。ミクロなカタチで大きな世界を表現しようとする冨川さんに期待しています。オブジェでは自分も負けていられないと感じています。この日は制作に弾みがついた一日になりました。