Yutaka Aihara.com相原裕ウェブギャラリー

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  • 色彩コンプレックス
    高校時代に大学の工業デザイン科に入りたくて、デッサンや色彩構成の基礎学習をやっていました。デッサンも初めから上手だったわけではなく努力して獲得した技能でしたが、色彩構成に至ってはひどいものでした。自分には色感がないと気づいた途端、矩形を色面で分割する構成が嫌になりました。絵画やグラフィックデザインの道はまずありえないと思っていました。彫刻への道は色彩コンプレックスからの解放だったのかもしれません。ところが、イタリア彫刻界の巨匠マリーニが豊かな色感を持っていたのに衝撃を受けて、色彩に対して敏感になりました。自分は重い色感をもっていることがわかり、現在作っている陶彫や木彫に自分らしさを追求した色彩を用いています。明るい色彩は今でも使えません。自分には加齢するほど色彩を明るくしたいという願望があります。豪奢で華麗なレリーフ屏風を絶筆として作り上げ、自分の葬儀を絢爛たる造形で飾りたいと妙なことを考えているしだいです。色彩コンプレックスの克服が今の自分の課題のひとつです。    Yutaka Aihara.com 
    マリーニの色彩
    イタリア彫刻界の巨匠であったマリノ・マリーニの大規模な展覧会があったのは、もうかれこれ30年近く前になるでしょうか。当時自分はまだ学生で彫刻を学び始めた頃でした。同じテーマで何度も塑造を試みる巨匠の作品に畏敬の念をもっていました。中でも驚いたのは壁に何点も掛かっていたタブロー(油絵)でした。その色彩豊かな世界は、立体にも通じ、また立体では伝えられない思い切った色面構成がありました。自分にはこれほどの色彩感がなく、色を楽しんで使っているマリーニが羨ましく感じました。イタリアの開放的な太陽が、大らかな形態と色彩を育んでいると想像しました。立体と併行して平面作品を作っている自分はこんなところにルーツがあるように思います。学生時代に目に焼きついた名作の数々はなかなか頭を離れることがありません。                           Yutaka Aihara.com 
    無対象の造形
    画家カンデインスキーが推進した無対象絵画(抽象絵画)の考え方が、立体の場合はどんな現れ方をしたのか興味のあるところです。ロダンのもとを離れたブランクーシあたりが抽象彫刻の草分けでしょうか。バウハウスが抽象要素のある立体構成を導入したのでしょうか。ともあれブランクーシに見られる永遠の柱は、完全な無対象造形としての考え方をもっていると言ってもよいと思います。自分の制作する彫刻もこうした無対象の構成に基づいています。単純化した形態を構成要素として再構築する作業をしていて、小さなカタチで集合体を組んで、置かれる空間を意識した作品を作りだそうとしているのです。自分の作品に対する考え方を整理し確認するために、このところカンデインスキーを初めとするドイツ表現主義の考え方に、自分は接近しているのだと思います。                         Yutaka Aihara.com


    表現主義における神秘思想
    「表現主義の精神的背景」(大森淳史著)という論文の中で、「カンデインスキーは1907年頃から、神智学協会ドイツ支部長であったルドルフ・シュタイナーに惹かれて神智学の熱心な信奉者となった。[芸術における精神的なもの]など彼の著述に一貫する唯物論(物質主義)への攻撃的姿勢は、彼が原子論を認めず、有機体と世界の非物質的根拠としての霊的[精神的]エネルギーの存在を確信していたことを示している。」とあります。カンデインスキーが内なるものを表現するにあたって、彼がこうした神秘思想に影響され、やがて無対象絵画(抽象絵画)に繋がっていくプロセスが用意されたと言っても過言ではないでしょう。目に見える対象から、目に見えないものを見えるように表現するドイツ表現主義の考え方のひとつに神秘思想があることが、これでようやく納得できました。                Yutaka Aihara.com
    ドイツ表現主義 初めの一歩
    中学校や高等学校の美術の授業では印象派の描き方を教わった記憶があります。風景や静物をモチーフにして、光や陰影を色彩を駆使して描いたりしました。写生が好きだった自分は陰影に黒は使わず、光との関係で青みがかった色彩を用いて、周囲から褒められたことがありました。ところが美大受験の頃になって、印象派とは異なる世界観を持つ美術に接することになり、たちまち虜になりました。その頃自分は工業デザインをやろうと思っていて、構成的な基礎勉強をしているうち、この構成主義ともいえるものが実は高校時代に親しんでいた印象派とは違う由来をもっていることを知りました。いわゆる抽象芸術に知識として触れた最初の一歩でした。由来を辿るとドイツ表現主義にいきつき、表現主義の「見えないものを見えるように表現する」考え方を押し進めていくと、やがてデザインに応用される構成的なものになっていくことがわかりました。このところずっとブログに書いているカンデインスキーが重要な役割をもって、こうした運動を推進していたこともこの頃知ったことでした。                         Yutaka Aihara.com