2008.02.23 Saturday
久しぶりに鑿と木槌を持ちました。数週間前に試作を1本だけやっていますが、本格的に木を彫っていくのは今日からです。木は対話しながら彫るのがいいのです。木には板目や柾目があって、それを確かめながら彫り進むので上手に付き合いながら作業するという意味で「対話」というコトバが用いられるのでしょう。今回は杉材です。比較的彫りやすい素材ですが、年輪がはっきりしていて、彫ったカタチが見えにくいと感じました。とりあえず柱3本に荒彫りをやりました。一日2〜3本荒彫りをやっていくと、どのくらいの日程が必要か、仕上げの彫りにはどのくらいの時間がかかるのか、公務との兼ね合いを考えながら計画を立てることになります。まず7月までに42本。それから先は長い柱を数十本彫ろうと考えています。最終的な処理はどうするのか、どのくらいの場を想定して発表するのか、最初のイメージを確認しながらやっていくつもりです。
2008.02.22 Friday
今年の個展は6畳大の陶彫で「発掘〜遺構〜」と名付けている作品を出品する予定です。あらゆるカタチが混在する都市が無人化した情景を陶彫の集合体で表現しています。いつも4月にやっていた個展の開催時期を、今年は7月に変えました。大きさで言えば今回の個展に出品する作品が今までで一番大きいのです。都市の模型のような作品です。陶彫の部分はもう出来上がっていて、テーブル台になる部分を現在考案しています。つまり、木彫の新作「構築〜起源〜」をこれから作り始めますが、この柱の何本かが「発掘〜遺構〜」に使う予定なのです。これはもう渾然一体となる作品で、個展にはこれ1点だけでかなりのスペースを占めるかなと思います。こんなことを頭の片隅に入れつつ、明日は木を彫っていく予定です。
2008.02.21 Thursday
杉材が42本、自分の手許に届きました。これは長さ90センチの柱ですが、さらに長い柱が数十本必要です。新作「構築〜起源〜」を作るための素材です。素材を見ると何だか嬉しさでいっぱいになります。これは何度経験しても同じです。素材を前にして、あれこれ考えたり感じたりするのがいいのです。彫刻は頭の中のイメージとそれを具現化するための素材が一致しているかどうかはとても重要です。作家によっては初めに素材を見てから作品をイメージする人もいます。自分は陶土と木材を扱っているので、自分のイメージがどちらが相応しいのかを考えて素材を選ぶのです。今年は木材だけの作品と、木材と陶土を組み合わせた作品の両方を考えています。今月は陶彫による「街灯」「壁灯」の連作が中心ですが、来月は木彫による「構築〜起源〜」に取り組まなくてはなりません。杉材の香りを嗅ぎながら、そんなことを考えた一日でした。
2008.02.20 Wednesday
宮本健次著「桂離宮〜ブルーノ・タウトは証言する〜」によると、ブルーノ・タウトは松琴亭の襖にある青と白の市松模様を「ほかのところだったら堪らない悪趣味に堕するだろうと思われる…」という感想をもっていたようです。自分は昨年夏に桂離宮を訪れ、青と白の市松模様の襖に大変魅力を感じていたので、この感想は意外でした。確かに西洋的ではありますが、今見るとこれは大変現代的で、自然を雛型にした全体の景観の中にあって、この抽象世界は新鮮な驚きでした。花鳥風月のような襖絵ではなく、襖を大きめの市松模様にしたことで、他の庭園や離宮とは違う趣きを桂離宮はもっていると思っています。書院郡外観にも柱と白壁の絶妙な割合があって、これにも抽象世界が感じられました。現代の眼にも桂離宮が新鮮に映る所以かなと思っています。
2008.02.19 Tuesday
宮本健次著「桂離宮〜ブルーノ・タウトは証言する〜」という書物を読み終えました。昨日ブログに書いた居間のテーブルに積まれた書物の1冊です。昨年の夏に桂離宮に出かけ、実際自分の眼で見て、その美しさを堪能した後に読む書物とすれば、なかなか良いものでした。ブルーノ・タウトはドイツ工作連盟にも関係したドイツ人建築家で、斬新な建築物や大掛かりな住宅の設計で知られています。ブログでも以前ドイツ工作連盟の開催した展覧会で「ガラスの家」を作り、話題になったことを書いています。そのブルーノ・タウトが日本に亡命し、桂離宮の美を発見したことは有名な話です。同著にある「日本は眼に美しい国です。」と述べられた賛美のコトバが印象的でした。自分も昨年の夏を思い出し、桂離宮の印象を記憶の中で辿り、ブルーノ・タウトのコトバと合わせてみたりしました。